河川の氾濫や土砂災害など広範囲に大きな傷痕を残した、台風19号。
気象庁は、数十年に一度のこれまでに経験したことのないような重大な危険が差し迫った状況だとして、東京、神奈川、埼玉群馬、山梨、静岡、長野の1都6県に大雨特別警報を出しました。
私の住んでいる地域も大きな被害を受け、私自身、避難所で過ごす経験を余儀なくされました。
前回に引き続き、避難までの経緯や避難所の様子をご報告します。
前日まで(10月12日)の様子はこちら
【台風19号体験①】大雨特別警報「警戒レベル5」に。人生初の避難所経験をご報告。
朝7時前、4回目の緊急速報がスマホに届く
今朝は6時半ごろ目が覚めた。
二階からの様子をみると、何やら騒がしい。
消防の警報が鳴り響いて、内容までは聞き取れなかったが、マイクで何かを呼び掛けている。
車の量が、朝にしては多い。外にでて、様子を見ている人もいる。
雨や風はおさまっているものの、何かただ事でない雰囲気を感じた。
着替えをして、スマホを片手に情報集めをしていると、4回目の緊急速報が届く。
6:53のことだった。
緊急速報
上田市 災害発生情報
上田橋付近左岸で千曲川の堤防が崩れ始めています。12日午後6時40分に避難指示を発令していますが、下記の自治体の浸水想定区域に居住されている方は大至急上田創造館に避難してください。
対象自治体:・・・・・
避難が難しい場合は少しでも安全な場所に避難してください。命を守る行動をとってください。
(上田市 危機管理防災課)
対象自治体に私の住んでいる地域が入っている!!
しかも、「堤防が崩れ始めている」という情報。
昨日までは避難するかどうか迷っていたが、この一文を見て、すぐさま避難所へ避難することにした。
避難所へ逃げる
すぐに子供を起こし、昨日準備しておいたリュックを車にのせて、すぐに避難所へ向かった。荷物を準備。車で避難所へ向かうのは地方ならではかもしれない。歩いて向かってい人もいた。
避難場所は「上田創造館」。少し小高い場所にあるため、ここなら安心。
しかし、創造館に向かう道がすでに大渋滞で動かない。回り道をして、なんとかたどり着いたが、駐車場はすでに満車。路駐する場所もあまりない。駐車場の端に車を止めて、待っていると、すでに駐車することができた方が、娘さんの家へ向かうということで、場所を開けてくれた。親切にも、他の方に取られないように誘導までしてくれた。感謝。
体育館い入るともうすでに満杯状態。残ったスペースに入れてもらえた。
入口で住所、家族全員の氏名・性別・年齢、自治会名を記入。4本分のスポーツドリンクをもらえた。毛布が不足していたため、ブルーシートの上に場所をとる。
千曲川が決壊!ローカル線上田電鉄別所線の鉄橋が落ちる!
避難所でツイッターなどから台風情報を見た。
おどろいた。
千曲川が決壊し、上田のローカル線である「別所線」の鉄橋が千曲川に落ちてしまっている。

別所線の赤い鉄橋は上田のシンボル的存在。その悲惨な状況を見ると涙が出てくる。
川の水は少しずつ、堤防をえぐり取っていく。普段よく通る道路が、なくなっていく。
その他にも、道路が陥没したり、土砂で通れなくなってしまったところも結構あったようだ。
テトラポットで川の流れをすこしでも緩やかにする作業をしてくれている映像もあった。
避難所での様子
避難場所にはたくさんの人が集まっていた。9時くらいに到着した人はもう受け入れができない旨を伝え、別の場所を紹介していた。
体育館の場所取りに失敗し、たたみ一畳くらいの場所に家族四人で過ごすことになる。隣の家族が知らない間にどんどん領域を広げてきて、こちらはほとんど場所がない。足も延ばせず、縮こまって過ごした。狭すぎる!!
避難所ではやることがなく、スマホを見るか、家から持ってきたナッツをつまむか。子供たちもやることがない。レシートを使って折り紙遊びをしたり、問題をつくって解かせたりしてみたが、すぐに飽きてしまう。そして、暇になると、モノを食べ始めるか、駄々をこねるかのどちらかになる。
何か子供たちが時間をつぶせるものを持ってくるべきだった!
幸い、この創造館のとなりには「長池公園」があった。雨・風がひどいわけではないので、そこで子供たちを遊ばせて時間を過ごした。
2時間半くらいで、「もう避難所生活はしんどい」と思いはじめる。何日も避難所生活を続けていた方のつらさを思い知らされた。しかも、ここで寝泊まりすることを想像するとゾッとする。
市から昼食の提供。企業からの食糧提供も!
ちょうど12時に、昼食が提供された。食料品を無償提供してくださった企業もあった。
食べ物は十分に準備してもらえた。
ラーメン、わかめごはん、みそ汁、たこ焼き、ケバブ

カロリーメイトやクレープ、スナック菓子。


食べ物には困らない十分な量だった。ありがたいことだ。
支給の順番は「小さな子ども→お年寄り→一般の方」の順。最後の一般の方が並びだしたときは、体育館の端から端までの長い列になった。
一畳のスペースに家族4人で過ごすのはもう限界
一畳のスペースに家族4人でこのまま過ごすのはあまりにきつすぎる。かといって、自宅に帰るのはまだリスクがある。千曲川の水量減っては来てるもののまだ予断を許さない状況。
それならば、多少費用がかかっても安全な場所に宿をとってそこで過ごしたいという思いが強くなってきた。幸い車で来ているので移動は可能。
しかし、千曲川にかかる橋は通れなくなっており、反対側の美ケ原や鹿教湯温泉に行くのも道路陥没等で大変危険である。
そんなとき、車で15分ほどの別所温泉「あいそめの湯」が避難場所になっている情報があったのを思い出した。
そうだ、別所温泉なら車で行ける!
ネットで宿の空き状況を調べ、空いていた宿に電話をして道路状況等を確認した。
素泊まりでも結構費用のかかる宿しか空いていなかったが、もう1畳のスペースに4人で過ごすのは限界。思い切って、申し込みをし、今夜はそこで避難を兼ねた宿泊をすることにした。
市の職員の方には大変お世話になった。本当に感謝したい。
避難所から一時帰宅。その後、別所温泉へ
ご近所の方が帰宅したという連絡があった。千曲川の水量は減ってきているのでもう帰宅しても大丈夫なのかもしれない。
でも、宿を予約してしまったし、当日だからもうキャンセル料もかかるだろう。迷った末に、一時帰宅して、着替え等の荷物だけ準備して、宿へ向かうことにした。
まだ、「避難指示」は解除されていないので帰宅するのはあくまでも自己責任となる。
自宅に帰ると、北側に敷いてあった防草シートが飛ばされていた。それ以外は、幸い無傷のようだった。
準備をして、別所温泉に向かい宿泊。別所温泉周辺は特に大きな台風被害を受けた感じはしなかった。
疲れがどっとでてきた。温泉につかり疲れを癒した。
そして、深い眠りにつく。長い一日であった。
一日でも早い復興を願う
今回のでは、人生初の避難所へ逃げるという体験をしました。
始めて、災害の恐怖を経験しました。
幸い、大事には至らなくて済みましたが、これは、多くの皆さんの助けがあったからだと思っています。
本当に感謝しています。
しかし、まだまだ台風の影響で、避難生活を余儀なくされている方、大きな被害を受けて苦しんでいる方がたくさんいらっしゃると思います。
皆さまの安全と、一日でも早い復興を心よりお祈り申し上げます。