ある数の「約数」とは、ある数を「割り切ることができる数」のことです。
例えば\( 12\) の約数は,\( 12\) を割り切ることができる数で\( 1,\; 2,\; 3,\; 4,\; 6,\; 12 \) となり、合計\( 6\) 個になります。
実はこの約数の個数\( 6 \) (個)を簡単に出す方法があります!
本記事では、約数の求め方と、上のような約数の個数の求め方について解説します。
約数を求める公式と考え方について一緒に見ていきましょう!
✓本記事の内容
- 約数の定義と求め方
- 約数の個数の求め方
- 約数の個数を求める公式
- 約数の個数を求める考え方
「約数の定義」と「約数の求め方」
ある数の約数とは、その数を割り切ることができる数のことです。
ただし、高校数学では別の表現で約数を定義します。
定義:
「ある数\( k \) を用いて\( a=bk \) と表される」とき,\( b \) は\( a \) の約数であるという。
かみ砕いていえば次のようになります。
「ある数」=□×△
と表せるならば
□や△は「ある数」の約数
つまり、ある数が2つの数の積で表せるならば、その2つの数はある数の約数になるのです。
例として\( 12 \) の約数を考えてみましょう。
\begin{align}
&12=1\times 12\\
&12=2\times 6\\
&12=3\times 4
\end{align}
と表されるので,\( 12\) の約数は上の式の右辺に現れる数であり,\( 1,\; 2,\; 3,\; 4,\; 6,\; 12 \; \)となります。
\( 1\) から順に\( 12 \) を割り切ることができるか調べていってもいいのですが、この約数の定義はしっかりと押さえておきましょう。
約数の個数の求め方
続いて約数の個数の求め方について解説します。
まず結論です。
【約数の個数】
素因数分解し、それぞれの指数に1を加えたものをすべてかける
公式はあとで紹介しますので、まずは具体例で約数の個数を求める練習をしてみましょう。
まず\( 12 \) を素因数分解します。
\[ 12=2^{\color{blue}2\color{black}}\times 3^{\color{blue}1\color{black}}\]
\( 3 \) は\( 3^1 \)と指数が明確に分かるようにしました。
次に,それぞれの指数(右上の小さい数)に\( \color{red}1\color{black}\) を加えたものをすべてかけます。
\[ (\color{blue}2\color{black}+\color{red}1\color{black})\times (\color{blue}1\color{black}+\color{red}1\color{black})=6\]
これが約数の個数の答えです。
同じように\( 360 \) を素因数分解します。
\[ 360=2^{\color{blue}3\color{black}}\times 3^{\color{blue}2\color{black}}\times 5^{\color{blue}1\color{black}}\]
次に,それぞれの指数に\( \color{red}1\color{black}\) を加えたものをすべてかけます。
\[ (\color{blue}3\color{black}+\color{red}1\color{black})\times (\color{blue}2\color{black}+\color{red}1\color{black})\times (\color{blue}1\color{black}+\color{red}1\color{black})=24\]
となります。\( 360 \) の約数の個数は\( 24\) 個ということがわかりました。
実際、\( 360 \) の約数は
\begin{align}
&1,\; 2,\; 3,\; 4,\; 5,\; 6,\; 8,\; 9,\; 10,\; 12\\
&15,\;18,\;20,\;24,\;30,\;36,40,\;45\\
&60,\;72,\;90,\;120,\;180,\;360
\end{align}
で,\( 24\) 個あります。
これだけの約数を求めて数えるのはとても大変ですね。
約数の個数を求める公式
これまで解説してきた内容を公式で表してみます。
自然数\( N \) が\( N=p^a\times q^b \times r ^c\cdots \) と素因数分解できたとき,
\( N \) の正の約数の個数は
\[ (a+1)(b+1)(c+1)\cdots \]
である。
約数の個数は,\( N \) を素因数分解して,それぞれの指数\( a,\; b,\; c \) に\( 1\) を加えたものをすべてかけたものになります。
約数の個数を求める公式が成り立つ理由(考え方)
最後に「約数の個数を求める公式」が成り立つ理由について考えてみます。
ここでも\( 12 \) の約数の個数を例としてみていきましょう。
\( 12 \) を素因数分解すると
\[ 12=2^2\times 3^1 \]
でした。ここでポイントですが
\( 12 \) の約数は\( \; 2^{□}\times 3^{△} \; \)の形をしている!
ただし,\( □=0,\; 1,\; 2,\quad △=0,\; 1\)
ということです(\( 2^0=3^0=1\)です)
\( 12 \) の約数は、かけると\( 12 \) になる\( 2\) つの数なので、\( 12 \) の素因数のみで構成されているのです。
したがって\( 12 \) の約数は,\( \; 2^{□}\times 3^{△} \; \)において,\( □=0,\; 1,\; 2,\quad △=0,\; 1\) を代入し,それらをかけたもの,つまり
「\( 2^0,\; 2^1,\; 2^2\)」から1つ,「\( 3^0,\; 3^1\)」から1つ選び
それらをかけあわせたものになっているのです。
イメージがわくように樹形図で\( 12 \) の約数を表すと次のようになります。
実際にこの樹形図から
\begin{align}
&2^0\times 3^0=1\\
&2^0\times 3^1=3\\
&2^1\times 3^0=2\\
&2^1\times 3^1=6\\
&2^2\times 3^0=4\\
&2^2\times 3^1=12
\end{align}
とかけ算をすることで\( 12 \)の約数がすべて求まります。
そしてこの樹形図から約数の個数を数えると
\[ 3\times 2\]
すなわち,\(12 \) を素因数分解したときの指数に\(1 \) を加えたものをすべてかけた
\[ (2+1)\times (1+1) \]
となっているわけです!
ここまでの考え方を一般化すると先ほどの公式
自然数\( N \) が\( N=p^a\times q^b \times r ^c\cdots \) と素因数分解できたとき,
\( N \) の正の約数の個数は
\[ (a+1)(b+1)(c+1)\cdots \]
である。
が理解できたのではないかと思います。
まとめ
今回は、高校で出てくる約数の定義と約数の求め方、そして約数の個数の求め方、考え方について解説しました。
約数の個数が素因数分解したときの指数によって求まるのは興味深いですね。
やや理解しにくい部分ですので、じっくり考えてみてください!
今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。