数学

\(x^n\)の微分が\(nx^{n-1}\) になる理由を証明します【二項定理を利用】

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

今回は高校数学Ⅱで学ぶ\( x^n \) の微分公式

\( n \) が整数のとき\( x^n\)を微分すると
\[ (x^n)’=nx^{n-1} \]

の証明方法について解説していきます.

この式の証明は一部の教科書で「研究」として扱われているだけで、きちんと学んだことがない人も多いのではないでしょうか。

教科書では,導関数の定義を用いて次の3つの式

\[ (x)’=1\]
\[ (x^2)’=2x \]
\[ (x^3)’=3x^2 \]

は証明されていますが,一般の場合の

\[ (x^n)’=nx^{n-1} \]

については,証明がやや難解であるため、省略されているケースが多いのです。

本記事では、この公式について、詳しい証明方法を解説していきます。

本記事の内容

✓導関数の定義の復習

✓二項定理の復習

✓ \( (x^n)’=nx^{n-1}\) の証明

導関数の定義の復習

導関数は次のように定義されます。

導関数の定義
\[ f'(x)=\lim _{h\to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\]

導関数は,もとの関数\(f(x) \)の各点における接線の傾きを表すものです。

導関数の\(x \) にさまざまな値を代入することで,関数\(f(x) \)の各点における接線の傾きを求めることができます。

そして、関数\( f(x) \) から導関数\( f'(x) \) を求めることを,\( f(x) \) を\(x \) で微分する,または単に微分するといいました。

「微分する」というのは「導関数を求める」ことであることを思い出しておきましょう。

二項定理の復習

二項定理は\((a+b)^n\)を展開する公式で,次のように表されます。

\begin{align*}
(a+b)^n={}_n\mathrm{C}_0\,a^n+{}_n\mathrm{C}_1\,a^{n-1}b+{}_n\mathrm{C}_2\,a^{n-2}b^2+\cdots +{}_n\mathrm{C}_n\,b^n
\end{align*}

この二項定理は高校の数学Ⅱの「式と証明」で学びます。

例えば,\( (a+b)^4 \) は二項定理を用いることで,次のように展開することができます。

\begin{align*}
(a+b)^4&={}_4\mathrm{C}_0\,a^4+{}_4\mathrm{C}_1\,a^{3}b+{}_4\mathrm{C}_2\,a^{2}b^2+{}_4\mathrm{C}_3\,ab^3
+{}_4\mathrm{C}_4\,b^4 \\
&=a^4+4a^{3}b+6a^{2}b^2+4ab^3
+b^4
\end{align*}
この公式は,\( (2x-3)^5 \) のような式の展開にも使えるのとても便利な式です。

\( (x^n)’=nx^{n-1}\) の証明

それでは,導関数の公式と二項定理の公式を利用して

\[ (x^n)’=nx^{n-1}\]

を証明してみましょう!

まず\( f(x)=x^n \) とおきます。

導関数の定義

\[ f'(x)=\lim _{h\to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\]

を用いると,\( \, f(x)=x^n,\quad f(x+h)=(x+h)^n\, \) なので

\begin{align}
f'(x)&=\lim _{h\to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\\
&=\lim _{h\to 0}\frac{(x+h)^n-x^n}{h}\cdots ①
\end{align}

となります。ここで,二項定理の公式を用いると\((x+h)^n\) は次のように式変形することができます。
\begin{align}
(x+h)^n&={}_n\mathrm{C}_0\,x^n+{}_n\mathrm{C}_1\,x^{n-1}h+{}_n\mathrm{C}_2\,x^{n-2}h^2+\cdots +{}_n\mathrm{C}_n\,h^n\\
&=x^n+nx^{n-1}h+{}_n\mathrm{C}_2\,x^{n-2}h^2+\cdots +{}_n\mathrm{C}_n\,h^n\cdots ②
\end{align}

ここでは,\( {}_n\mathrm{C}_0\,=1,\; {}_n\mathrm{C}_1\,=n\, \) を用いました。

②を①に代入して

\begin{align}
f'(x)&=\lim _{h\to 0}\frac{x^n+nx^{n-1}h+{}_n\mathrm{C}_2\,x^{n-2}h^2+\cdots +{}_n\mathrm{C}_n\,h^n-x^n}{h}\\
&=\lim _{h\to 0}\frac{nx^{n-1}h+{}_n\mathrm{C}_2\,x^{n-2}h^2+\cdots +{}_n\mathrm{C}_n\,h^n}{h}\\
&=\lim _{h\to 0}(nx^{n-1}+{}_n\mathrm{C}_2\,x^{n-2}h+\cdots +{}_n\mathrm{C}_n\,h^{n-1})
\end{align}

2行目から3行目の変形では,\( h\neq 0 \)として,\( h \) で約分しています。

ここで\(h \to 0 \) とすると,第2項目以降がすべて限りなく\( 0\) に近づくので

\begin{align}
f'(x)&=nx^{n-1}
\end{align}
となるのです。
すなわち
\[ (x^n)’=nx^{n-1}\]
を証明することができました。

まとめ

今回は,導関数の定義式と二項定理の公式を用いて
\[ (x^n)’=nx^{n-1}\]
を証明しました。

文字が多くて大変だったかもしれませんが,\( h \) で約分してから,\( h \) を\( 0\) に近づけるのは
\( x,\; x^2,\; x^3 \) の導関数を求める場合と同様です。

今回の方法を利用した大学入試問題も見たことがありますので,ぜひこの手法を身につけておきましょう。

数学・統計学
シグマ先生
数学講師/Udemyベストセラー講師/数学の苦手を治します/塾・予備校・高校講師歴20数年/分かりやすい解説/偏差値40から65へ/数学検定対策/数学で困っている人の役に立ちたい

妻・子供2人と4人暮らし。週末はキャンプやスキー、温泉旅行などアクティブに活動中/数学検定1級
こちらの記事もおすすめ!