利回りや収益はどのくらい?
実際にやってみた人の意見を聞きたい。
そんな悩みに答えます。
結論から言うと、イデコ(iDeCo)はかなりお得で、老後の資金をつくるための「最強の手段」であると言っても言い過ぎではありません。
本記事では4年間イデコ(iDeCo)をやってみた私の収益を公開し、イデコのメリット・デメリットについて考えていきます。
✔︎本記事の内容
⚫︎イデコ(iDeCo)とは
⚫︎イデコを41ヶ月やってみた収益を公開
⚫︎イデコのメリットはこんなにあった!
⚫︎イデコにはデメリットもある
⚫︎イデコをやった方たいい人、やらない方がいい人
✔︎本記事の想定読者
⚫︎イデコをやってみようか迷っている方
⚫︎実際の収益がどのくらいなのかを知りたい方
⚫︎イデコのメリット・デメリットを知りたい方
イデコを始めて41ヶ月の私自身、この制度を利用するかどうかについてはかなり悩みました。
イデコを始めようか迷っている方の不安な気持ちはよく分かります。
以下の本を何度も読み、ネットの情報もたくさん集めて検討した結果「これはやらない選択肢はない」と考え、運用を開始しました。
たイデコはめちゃくちゃお得な制度ですが、一度始めると途中でやめることはできません。
本記事の運用の様子も参考にしながら、ご自身の状況に照らし合わせて検討をしてほしいと思っています。
それでは見ていきましょう!
イデコ(iDeCo)とは
イデコ(iDeCo)とは「個人型確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)」の愛称です。
簡単に言えばイデコとは「自分で作る年金」のことです。
毎月一定の金額を積み立て、定期預金や投資信託などで運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができる制度です。
2017年施行の法改正で、公務員や専業主婦(主夫)を含めて、ほぼすべての人が利用できるようになりました!
毎年支払う税金を減らすことができたり、運用で得た利益に税金が掛からなかったりと、ものすごい破壊力とパワーを持った制度です。
イデコを41ヶ月やってみた私の収益を大公開
私は2017年にイデコをはじめました。
本を読んだりネットの情報をみて、「これはやらなきゃ損!」と感じ、さっそく手続きを開始。
イデコを始めるためにはまず、運用する証券会社を選ぶ必要があります。
証券会社は「楽天証券」を利用しています。
すでに「SBI証券」の口座を持っており、イデコもSBI証券でやろうと考えていましたが、加入時の手数料を比較してみると、その当時は「楽天証券」の方が安かったため、楽天証券で口座を開設することにしました。
◆私のイデコ積み立て額
・2017年8月開始
記事を書いている時点で41ヶ月目
・月々の積み立て 12,000円
・年間の積み立て 144,000円
イデコの収益源は主に以下の2つの要素があります。
◆イデコの主な収益源
1 所得控除で戻ってくる税金(効果絶大)
2 運用している投資信託等の運用益(非課税です!)
それでは、順番に私の収益を公開します
1 所得控除により戻ってくる税金額を公開
イデコの大きなメリットの1つは、支払う税金(所得税・住民税)が安くなることです。
※本記事では減らすことのできた税金額を「収益」とみなして計算します
通常、税金(所得税・住民税)は、「課税所得」にかかります。
「課税所得」とは収入から所得控除(給与所得控除、配偶者控除、生命保険控除など)を差し引いたもの。
イデコで積み立てた金額はすべて所得控除となるので、課税所得を減らすことができます。その結果、税金額を大きく減らすことができるのです!
それでは、どのくらい税金を減らすことができたのかを見ていきましょう。
まずはイデコでの積立金の合計を出します。
積立金の合計 12,000円×41ヶ月=492,000円
この金額がすべて所得控除になります。
私の場合、課税所得の税率は所得税20%、住民税10%でしたので以下の金額が戻ってくる計算です。
◆41ヶ月で減らすことができた税金額
所得税
49,2000円×0.2=98,400円
住民税
49,2000円×0.1=49,200円
合計147,600円
結構な金額でした!
41ヶ月(3年5ヶ月)でこの金額なので、20年、30年と期間が長くなればなるほど、節税額が積み上がっていきますね。
2 イデコの運用益を公開
イデコでは、証券会社が用意している商品から自分で投資先を選びます。
選んだ商品が値上がりすると評価益が得られるという仕組みです。
このとき、なんと運用益が非課税!となります。これはとってもお得な制度です。
通常の定期預金や株式投資では約20%の税金がかかることを考えると、かなり大きなメリットといえるでしょう。
※積み立てたお金と運用益の受け取りは60歳以降というデメリットはあります
私の場合、2020年12月現在の運用益は以下の通りでした。
◆41ヶ月間のイデコ運用益
時価評価額 560,590円
投資累計額 482,452円
560,590円 ー 482,452円
=78,138円
評価損益
78,138円
利回り 8.39%
楽天証券で表示した画面は以下のようになっています。
驚くような利回りです。
現在、先進国の株価が上がっているということもありますが、それにしても調子がいい!
もちろん年によってはマイナスになるときもありますので、参考までに、今までの資産の推移を公開しておきます。
上のグラフをみると、新型コロナウィルスが流行り出した2020年の3月〜5月は評価損益がマイナスであることがわかります。
ただし、今現在は株価も回復し、順調に資産が増えている状況です。
節税額 147,600円
運用益 78,138円
合計損益
+225,738円
いままでの掛け金は492,000円ですので、イデコは非常にお得だということが分かりました。
収益公開は以上です。
イデコでかかった費用
参考までに、イデコを始めてからかかった費用についてもご紹介しておきます。
イデコを利用する場合、加入時と毎月一定額の費用がかかります。
楽天証券では加入時手数料が2777円(国民基金連合会)、口座管理手数料が月に167円かかります。
いままでかかった費用の合計額は9,548円でした。
◆41ヶ月でかかった費用
9,548円
イデコでは毎年約2000円の手数料がかかりますが、NISAなどのように投資額全体にかかるわけではなく、60歳で受け取るまでかかる費用は毎年一定です。
手数料が資産に応じて増えることはありません。
これもお得ですね。
イデコのメリットはこんなにあった!
イデコのメリットをまとめておきます
⭕️所得税・住民税が安くなる
⭕️長期間投資による複利効果あり
⭕️運用益が非課税である
具体的な事例があった方が分かりやすいので、ここでは仮につぎのケースを考えてみます。
ある会社に勤務するAさん
・企業年金や企業型DCはない
・1ヶ月の積み立て額 2万3000円(上限)
・年間の積み立て額 27万6000円(上限)
※課税所得を300万円として計算
メリット1 所得税・住民税が安くなる
Aさんの場合で計算してみます
◆戻ってくる税金額
1年間 5万5200円
10年間 55万2000円
20年間 110万4000円
38年間 209万7600円
※大学卒業から60歳までが38年
これだけの節税が可能です!
自分の所得だと年間どのくらいの節税になるかは以下の表を参考にしてみてください。
所得税と住民税の節税効果
課税所得 | 年間掛金 | ||
14万400円 公務員等の上限額 |
27万6000円 会社員等の上限額 |
81万6000円 自営業等の上限額 |
|
195万円以下 | 2万1600円 | 4万1400円 | 12万2400円 |
195万円超 330万円以下 |
2万8800円 | 5万5200円 | 16万3200円 |
330万円超 695万円以下 |
4万3200円 | 8万2800円 | 24万4800円 |
695万円超 900万円以下 |
4万7520円 | 9万1080円 | 26万9280円 |
900万円超 1800万円以下 |
6万1920円 | 11万8680円 | 35万880円 |
1800万円超 4000万円以下 |
7万2000円 | 13万8000円 | 40万8000円 |
4000万円超 | 7万9200円 | 15万1800円 | 44万8800円 |
メリット2 長期間の複利効果が期待できる(運用益)
これはイデコに限った話ではありませんが、積み立てる期間が長くなるケースが多いため、複利効果により大きな老後資金をつくることが可能になります。
Aさんの運用益を計算してみます。
運用利率3%の場合
元本 約1049万円
運用益 約903万円
元本+運用益 約1952万円
運用利率5%の場合
元本 約1049万円
運用益 約2075万円
元本と運用益 約3124万円
ものすごい複利効果ですね!
ちなみに現在の私の運用利率は8.39%でしたのでこの利率で運用できたら積み立て額+運用益は・・・
約7558万円!
実際にはそんなケースは稀なのかもしれませんが、平均3%くらいの利率であれば十分現実的だと思います。
メリット3 運用益が「非課税」である
イデコでの運用益は「非課税」です。
つまり、運用中の「利益」に税金は一切かかりません。
◆銀行の預金に預けた場合
利息に20%の税金がかかる
◆株や投資信託の場合
利益の約20%の税金がかかる
◆イデコでの運用した商品の場合
利息や値上がり益にかかる税金はゼロ
本来税金として差し引かれるはずのお金も再投資可能ですので、効率的に資産を増やすことができます。
先ほどのAさんの例でシミュレーションしてみましょう。
運用利率3%の場合の運用益は約903万円でしたので、もし約20%の税金がかかるとすると186万円です。
つまりイデコで運用した方が186万円もお得になります。
運用利率5%の場合の運用益は約2075万円ですので、もし約20%の税金がかかるとすると415万円です。
イデコで運用した方が415万円お得ということになります。
Aさんの例は、「38年間イデコに加入する」というやや極端な例ではありましたが、イデコのメリットを十分に実感していただけたのではないでしょうか。
iDeCoのデメリットについて考えてみた
イデコにはもちろんデメリットもあります。
私が考えるイデコのデメリットは以下の3点です
△ 積み立てたお金は60歳まで引き出せない
△ 途中でやめることができない
△ 積み立てたお金を受け取るときに税金がかかる場合がある
順番に解説します。
積み立てたお金は60歳まで引き出せない
イデコでは積み立てたお金は60歳になるまでに引き出すことはできません。
イデコの目的は個人の年金をつくることですので、受け取れるのは60歳から70歳までの間になります。
したがって、もし60歳になる前にまとまったお金が必要になった場合、イデコで積み立てたお金には手をつけることができません
ただし、60歳まで引き出せないということはある意味メリットにもなります。
いつでも引き出せる状態だと、いざお金が必要になったときについ使ってしまうケースもでてくるでしょう。
すると、せっかく将来のために積み立てたお金が目減りしてしまいます。
60歳まで引き出せないという制約のおかげで、将来豊に過ごすための資金をためることができるという見方もできるのです。
途中でやめることができない
イデコはある条件を満たさないと途中でやめることはできません。
一度始めたら60歳までは続ける覚悟が必要です。
ただし、月々の掛け金は年に1度だけ変更することが可能です。
最低の積み立て額は月に5000円ですので、どうしても月々の積み立てが苦しい場合は、積み立て額の減額を検討してみるとよいでしょう。
月々の積み立て額を0円にすることも可能ですが、おすすめできません。
理由は以下の通りです。
イデコでは積み立てたお金を受け取る際、税金がかかります。
積み立て額を0円にして運用指図者になると、その期間はイデコの運用期間としてカウントされなくなり、税金の支払額が増えてしまう可能性があるからです。
さらに、運用指図者となる手続きも必要になります。
積み立てたお金を受け取るときに税金がかかる
イデコでは積み立てたお金を受け取る際に税金がかかります。
ただし、この税金はかなり優遇されていますのでそれほど心配する必要はないと思っています。
一時金で受け取る場合
例えば、イデコで積み立てたお金を「一時金」として受け取る場合、受け取り金額は「退職所得」とみなされます。
退職所得の税金はとても優遇されていて、退職所得から退職所得控除額を引き、1/2を欠けた金額に税金がかかる仕組みになっています。
ちなみに退職控除額は次の式で計算されます。
⚫︎加入期間が20年以下の場合
40万円×加入年数
⚫︎加入期間が20年を超えてている場合
800万円+70万円×(加入年数−20年)
この計算式からわかることは「イデコの加入年数が長ければ長いほど退職控除額が大きくなり、税金も安くなる」ということです。
例えば、加入期間が30年の場合、退職控除額は1500万円となりますので、運用してきたお金が1500万円を上回らなければ、一時金で受け取る際の税金をゼロにすることが可能です。
年金で受け取る場合
イデコで積み立てたお金は年金でも受け取りが可能です。
年金で受け取る場合は「雑所得」となり「公的年金等控除額」の対象となります。
「退職所得控除」のような思い切った控除ではありませんので、一時金で受け取った方がお得になるケースの方が多いと思います。
年金で受け取る場合は、公的年金の支給開始前(60歳〜64歳)に受け取ってしまうのも選択肢のひとつです。
イデコ一時金と会社の退職金の受け取り時期が重るときは注意が必要
会社からの退職金をイデコ一時金と同じ時期に受け取る場合は、退職所得が合算されてしまいます。
そのため、支払う税金が多くなるケースがあるので注意が必要です。
次のようなルールがあります。
⚫︎先にイデコの一時金を受け取り、その後に会社からの退職金を受け取る場合
・会社等の退職金の場合、過去4年以内に受け取った退職金は合算される。
・5年以上の期間を開けることで税金を安くできる
⚫︎先に会社の退職金を受け取り、その後にイデコの一時金を受け取る場合
・イデコの場合、過去14年以内に受け取った退職金は合算される
・15年以上の期間を開けると税金を安くできる
※早期退職の場合はこちらを検討しましょう
つまり、受け取る順番によって、税金が高くなったり、安くなったりするケースがあるということです。
したがって、ご自身の退職金の金額や受け取る時期によって、イデコで積み立てたお金を「いつ受け取るのか」「一時金で受け取るのか」「年金で受け取るのか」「一時金と年金を組み合わせるのか」について、シミュレーションしておくことが大切です。
イデコの受け取りについてはやや複雑で、私も一番時間をかけて勉強しました。
以下の本が分かりやすく、「受け取り」についての情報も多かったのでおすすめです。
イデコをやらない方がいい人
イデコは多くの方におすすめできるのは確かなのですが、以下の項目に当てはまる方はよく検討してからの方がはじめた方がよいと思います。
専業主婦(主夫)
専業主婦(主婦)の場合、課税所得がゼロなので節税のメリットがありません。
まずは、NISAなどの積立投資を検討しましょう。
ただし、運用益が非課税であることは大きな魅力ですので、考え方によっては利用するのもありだと思います。
安定収入・余裕資金のない人
イデコは一度始めたらやめられないので、安定した収入がなく、積み立てに回すお金の余裕がない場合はおすすめできません。
また、イデコで積み立てたお金は60歳まで受け取れないので、急に大きなお金が必要になった場合でもイデコで積み立てたお金は使えません。
ある程度の余裕資金のない人はやらない方がいいと思います。
※イデコは年に一度だけ積み立て金額の変更ができるので、支払いが苦しくなった場合には最低額(1ヶ月5000円)に変更するという手はあります。
老後よりもむしろ今を豊かにしたい人
「老後のためではなく今を豊にしたい」という人にも向いていません。
また、現在のキャッシュフローを増やして、セミリタイアを目指したい人にもあまり向かないかもしれませんね。
このあたりは個人の考え方によります。
上記の項目にあてはまらない場合は、今すぐにでもイデコを始めるべきだと思います。
まとめ
本記事ではイデコを41ヶ月運用した結果を公開しながら、イデコのメリットとデメリットについてご紹介してきました。
最後にもう一度、イデコのメリット・デメリットをまとめておきます。
・所得税・住民税が安くなる
・長期間の複利効果が期待できる
・運用している間は「利益」に税金がかからない。
所得税・住民税が安くなる(節税できる)というメリットだけでも、イデコをやる価値は十分にあると思います。
・積み立てたお金は60歳まで引き出せない
・途中でやめることができない
・積み立てたお金を受け取るときに税金がかかる場合がある
本記事の具体的な事例をみていただくことで、イデコの破壊力を十分に実感していただけたのではないかと思います。
ぜひあなたもイデコについて学んでみませんか?
そして、将来を豊かにすごすための資金作りをはじめてみませんか?
イデコは老後資金をつくるための最強の手段といっても間違いではありません。
最後までお読みいただきありがとうございました。