『100円のコーラを1000円で売る方法』という本を読んだのでご紹介します。
本書はマーケティングの基礎を物語を通して学べる構成になっています。
主人公は会計ソフトウェア会社で働く宮前久美。
自信過剰で、ある意味ぶっ飛んだ性格の宮前が、さまざまな経験を通して成長していくストーリーです。
物語を楽しみながらマーケティングの重要なポイントが学べますよ!
分かりやすく読みやすいおすすめの一冊です。
それでは、私が本書を読んで注目した3つのポイントについて解説していきます。
顧客の要望に100%答えても0点
主人公の宮前の努力も結果は0点
主人公の宮前は「顧客が言う事は何でも引き受ける」ことが正しいと信じて 疑わず、懸命に顧客の要望に応えきました。
しかし顧客満足は0点であるという事実を突きつけられます。
本書では顧客満足度の式が紹介されています。
顧客満足= 顧客が感じた価値ー 事前期待値
例えば、顧客の「事前期待値」を100としましょう。
仮にこの「事前期待値」を100%満足してもらうために100の価値を提供したとします。これが「 顧客が感じた価値」です。
この場合の顧客満足を上の式で計算すると
顧客満足= 100−100 = 0
となり、顧客満足はまさかの0点だったのです。
ライバル社の顧客満足は100点
一方、宮前のライバルであるバリュマックス社は、顧客が言ったことを鵜呑みにせず、顧客が見過ごしてきた問題点を指摘し、それらをいかに解決するか、具体的な解決策も提案しました。
事前期待値が100だったのに対して、200の価値を提供したのです。
この場合の顧客満足は100点になります。
顧客満足= 200−100 = 100
マックスバリュー社は、顧客の要望を何でも受け入れてくれるわけではありませんでしたが、顧客の期待値を大きく超える、とても価値がある前向きな提案をしました。
だから値段が高くても価値は100点なのです。
「 バリュー プロポジション」を徹底的に考える
バリュープロポジションとは「顧客が望んでいて、 競合他社が提供できない、自社が提供できる価値」のことです。
図の色がついた部分がバリュープロポジションになります。
街の電気屋さんが成長している理由
分かりやすい例として「街の電気屋さん」が挙げられます。
家電量販店が豊富な品揃えと、圧倒的に安い価格を打ち出している中、街の電気屋さんはどうやって顧客を取り込んでいるのか?
それは、街の電気屋さんにしかできない、「品揃え」や「価格」以外の価値の提供にあります。
家電について疎い、苦手意識のある中高年層にターゲットを絞り、地域密着型の手厚いサービスをすることで、家電量販店にはない価値を提供しているのです。
バリュープロポジションが明確になっていますね!
バリュープロポジションで低価格競争、低収益化から抜け出す
時間とコストをかけて、他社と同じことを一生懸命 やっても、商品もサービスも同じようなものになってしまいます。
その結果一生懸命努力しているのに、差別化ができず、際限のない価格競争に突入してしまいます。
これを避けるために重要なのが「 バリュープロポジション」なのです。
価格を下げずに「価値」を上げる
100円のコーラを1000円で売る方法
本書のタイトルである「100円のコーラを1000円で売る方法」の答えは、
価格を下げずに「価値」を上げる
です。
「超高級ホテルのルームサービス、最適な温度に冷やされたコーラをグラスに入れ、ライムと氷をそえ、この上なく美味しい状態で、シルバーの盆にのせて提供する」
中身は100円のコーラと同じでも、顧客は1000円のコーラに価値を感じます。
つまり、コーラという液体を売るのではなく、サービスという見えない価値を売っているわけです。
プロダクトセリングとバリューセリング
製品の売り方には2つの戦略があります。
1.プロダクトセリング
2.バリューセリング
プロダクトセリングはコーラという製品そのものを売る戦略です。
同じ商品方でも購入できるので、徹底的にコスト削減を図る必要があります。
この場合、規模の大きい会社ほど、大量仕入れで原価を安くできるようになります。
一方バリューセリングは、 コーラを飲めるという体験です。
心地よい環境で最高においしいコーラを飲めるというサービスで、商品の価値を上げていく戦略です。
この場合、コスト削減や規模の大きさは必要ありませんが、とことんサービスを向上していく必要がありまね。
プロダクトセリングとバリューセリング。 どちらを目指すべきかについてはよく考える必要がありますが、
「価格を下げるのではなく、価値を上げて勝負する」
ことは極めで重要であると思います。
まとめ
今回は本書を読んで私が気になった3つのポイントについて解説してきました。
本書の主張は以下の文に要約されています。
顧客中心主義とは、「顧客に振り回される」ことではなく、「顧客の課題に対して、自社ならではの価値を徹底的に考え、提供する」ということなのです。
巻末には本書で取り上げたマーケティング理論の参考文献が解説つきで紹介されています。
さらにマーケティングを学ぶ際のよい指針になると思います。
あなたも物語を楽しみながら、主人公の宮前久美といっしょにマーケティングを学んでみませんか?
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