2019年の10月に受検した数学検定1級に合格することができました。これらかは、オススメの問題集や勉強法についての記事を増やしていきたいと思います。
今回のご紹介する問題集は、日本数学検定協会監修の「数学検定1級(準拠テキスト)線形代数」です。
この問題集は3回くり返しました。
本書は、同シリーズ「微分積分編」と同様、これから数学検定1級を目指す方には、是非取り組んでほしい問題集です。
きちんと取り組めば、確実に実力が身につきます。
それでは、順にご紹介していきます。
準拠テキスト【微分積分】の構成とレベル
構成は「微分積分編」と同じです。
要点の整理→例題→演習問題
という構成になっています。演習問題は各Chapterの最後にあります。
最後の方に「補章」として「シュミットの正規直交化法」も取り扱われています。約7ページ分です。
本書は「微分積分編」と同様、数学検定1級で出題される内容に絞ったテキストになってますので、ポイントを絞った学習が可能です。
レベルは基礎~応用までと幅広く、1次検定、2次検定両方の内容に対応可能です。
過去問を中心に編集されていますので、この一冊で合格レベルにまで実力をつけていくことも可能です。
ちなみに、私の場合、本書に取りかかる前に「マセマシリーズ」で基本的事項だけは押さえておきました。
数学検定1級準拠テキスト【線形代数】の詳細
線形代数の内容は、数学検定1級の1次、2次とも頻出です。確実に得点源にしておきたい分野です。
行列
行列の計算でよく出題される問題があり、計算力も鍛えられます。
●\( A^n\) の計算問題
「数学的帰納法」「べき零行列と二項定理」で求める方法があります。これは確実にマスターしておきたいところです。
●細かい場合分けの問題が用意されている
2次対策になります。計算力・場合分け力が鍛えられます。
行列式
●\( n\)次のファンでルモンドの行列式が紹介
ファンでルモンドの行列式は覚えておくと便利です
●過去の検定で出題された、計算量の多い問題や\( n\)次行列式が取り上げられている
計算力が鍛えられます。確実に力がつきます。
●覚えておくと便利な公式が紹介されている
ブロックに分割した行列式に関数する3つの公式が紹介されていて、覚えやすいです。
●第344回検定で出題されたアダマール行列に関する問題もある
階数
●階数(ランク)について理解が深まる
階数の定義が4つ紹介されています。
「例」では3つの方法で階数を求めています。階数についての理解が深まります。
ここをきちんと勉強しておいたおかげで、第336回の2次検定の問題が解けました。
連立1次方程式
●連立1次方程式が解をもつ条件
連立1次方程式が解をもつための必要十分条件がコンパクトにまとまっています。
●場合分けの問題がgood!
連立1次方程式を、場合分けをして解く問題が何題か用意されています。後半の例題や演習問題を解くのは大変ですが、力は確実につくはずです。
ベクトル空間と線形写像
●線形写像の問題は良問
線形写像に関する問題は「例題」「演習問題」ともに良い問題がそろっています。過去問を題材にしています。
●表現行列を求める過去問も分かりやすい
線形写像の表現行列を求める方法も、優しいレベルから解説があります。
特に演習問題が素晴らしいと感じました。
1次独立・1次従属・基底・線形写像・次元定理など、線形代数の要となる重要な分野ですので何度も繰り返しました!
行列の対角化
●対角化は頻出分野
対角化可能な同値な条件が3つ紹介されています。行列の対角化は数検1級では頻出分野です。計算量が多くなる分野ですが、確実に答えにたどりつけるよう、何度も練習してみましょう。
●固有値に関する諸性質が詳しい
「固有値と行列の関係」や「固有値とトレースの関係」の他、ケーリー・ハミルトンの定理を用いて\( A^n \) を求める方法も、本書をしっかり繰り返しておけば身につきます。
行列の対角化の応用
主に2次形式や2次曲線の標準形について取り上げられています。
私は、2次形式の標準形を求める流れを、このテキストを使って頭にたたき込みました。
おかげで、第339回の2次検定で出題された「2次形式」の問題は完答できました!
ジョルダン標準形
「マセマシリーズ」はわかりやすいテキストなのですが、「ジョルダン標準形」は分かるんだけれど頭の中でまとまらない状態でした(私の場合)。
本書のp132「例題1」「例題2」の流れはとても分かりやすいです!
この章のおかげで、「ジョルダン標準形」の仕組みが理解できました。
最小多項式に関する問題も扱われています。
私の取り組み方
線形代数も微分積分と同様、1次でも2次でも必ず出題される、柱となる分野です。私はまず最初に「マセマシリーズ」を2回繰り返したのち、この問題集を3回繰り返しました。
1回目 1/28~2/19
この準拠テキスト「線形代数」は151ページですので、「微分積分」の198ページと比べるとやや少なめです。
「微分積分」よりも早めに1回目を終えることができました。ちなみに準拠テキスト「微分積分」は2ヶ月近くかかりました。
問題のレベルは3段階に分かれていて「印なし」は易~標準レベル、「★」は難レベル、「★★」は「極難」レベルで、著者によると「★」が独力で解けるならば、線形代数に関しては合格基準とみてよいそうです。
本書では★★の問題は少ないですが、やはり手ごわいです。1回目は後回しにした方がよいと思います。
線形写像の分野は急がず、きちんと理解することに重点を置きました。
★問題は解けるようになるまで頑張りましょう。
2回目 3/4~3/11
2回目は、1回目に間違えた問題に取り組みました。1回目で解けた問題は飛ばしていますので、終了までの期間も短くなっています。
この時期は、勉強時間も結構とれたので、8日間で終了しました!
3回目 10/1~10/11
2回目からだいぶ期間が空いてしまいましたが、検定日(10月27日)の直前に3回目に入りました。
前回の検定で計算ミスが多かったため、今回はほぼ全問を説きました。追い込みの時期として勉強時間を増やしていましたので、11日ほどで終了しました。
まとめ
線形代数については、この問題集の他に、「マセマシリーズ」1冊と「意味がわかる線形代数」を流し読みしました。
「マセマシリーズ」と「本書」の2冊あれば、ある程度のレベルまでは到達可能だと思います。
「微分積分編」同様、心地よさを感じさせる本で、気に入って使っていました。
本書は数検1級を目指す方にとっては必携の1冊であると思います。
こういった問題集が出版されたことで、数学検定1級の対策も立てやすくなってきていると思います。
これは購入しない手はありません!
「数学検定1級準拠テキスト線形代数」おすすめです。