この記事では次のような2重根号の外し方について解説します。
\[ \sqrt{3+\sqrt{5}}\]
2重根号の外し方を効率良く学ぶために、次の順で解説していきます!
- まず「やり方」をマスター
- なぜこの方法で2重根号が外せるのか?
- 2重根号を外すの公式の紹介
- 2重根号の外し方【練習問題】
それでは早速見ていきましょう。
【まずはやり方をマスター!】2重根号の外し方
まずは基本的な問題について、2重根号の外し方を見ていきましょう。
ここではやり方のみをご紹介します(理由は後ほど解説)
問題 次の2重根号を外しなさい
\[ \sqrt{5+2\sqrt{6}}\]
では,この問題を解く手順です。
Step1 内側のルートの前の数が2であることを確認
Step2 たすと左側の数,かけると内側のルートの中の数となる2つの数を見つける
Step3 Step2で求めた2つの数にルートをつけ,大きい順に並べて+でつなぐ(ルートの中の符号が-なら,-でつなぐ)
解答
手順に沿って2重根号を外します。
Step1 この式は内側のルートの前の数がすでに「2」になっています。
Step2 たすと5,かけると6となる2つの数字を見つけます。今回は「3」と「2」です。
Step3 Step2の2つの数字「3」と「2」にルートをつけ,大きい順に並べて+でつなぎます。
よって答えは
\[ \sqrt{3}+\sqrt{2} \]
となります。
もう一問やってみましょう。
\[ \sqrt{8-2\sqrt{15}}\]
解答
Step1 この式も内側のルートの前の数がすでに「2」になっています。
Step2 たすと8,かけると15となる2つの数字を見つけます。「5」と「3」です。
Step3 Step2の2つの数字「5」と「3」にルートをつけ,大きい順に並べて-でつなぎます。
よって答えは
\[ \sqrt{5}-\sqrt{3} \]
となります。
(注意)大きい順に並べずに\( \sqrt{3}-\sqrt{5} \)としてしまうと,この数は負の数となってしまうため間違いです。\( \sqrt{8-2\sqrt{15}}\)は正の数であることに注意しましょう。
なぜこのやり方で2重根号が外せるのか?
では、なぜこのような方法で2重根号が外せるのかについて解説をします。
一番最初に扱った問題をもう一度見てください。
問題 次の2重根号を外しなさい
\[ \sqrt{5+2\sqrt{6}}\]
まず最初に,この式の2重根号を外すことができて、\( \sqrt{a}+\sqrt{b}\) なったとしましょう。
\[ \sqrt{5+2\sqrt{6}}=\sqrt{a}+\sqrt{b}\]
この式の両辺を2乗してみます。すると,左辺の外側のルートが外れて
\[ 5+2\sqrt{6}=(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2\]
となります。ここで右辺を展開します。
\[ 5+2\sqrt{6}=(\sqrt{a})^2+2\cdot \sqrt{a} \cdot \sqrt{b} +(\sqrt{b})^2\]
よって
\[ 5+2\sqrt{6}=a+b+2\sqrt{ab} \]
となります。
この式の左辺と右辺を比べると\( a \) と\( b \) は
\[ a+b=5,\quad ab=6 \]
とである2つの数であることが分かります。
すなわち,たすと5,かけると6になる2つの数\( a,\; b\) を見つけ,それらにルートをつけて+でつなぐことで,2重根号を外すことができるのです(-の場合も同様)
2重根号を外す公式
ここで2重根号を外す公式をご紹介しておきます。
2重根号を外す公式
\( a>0,b>0\) のとき
\( \sqrt{(a+b)+2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}+\sqrt{b} \)
\( a>b>0\) のとき
\( \sqrt{(a+b)-2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}-\sqrt{b} \)
これらの公式は,両辺を2乗することで確かめることができます。
2つ目のようにルートの中の符号が-の場合は,\( a>b \) であることに注意しましょう。
\(\sqrt{a}-\sqrt{b}\) と\( \sqrt{a}\) , \( \sqrt{b}\) が大きい順になるように並べます。
※公式を見ると、たして○○、かけて△△となる数を見つければよい理由が分かると思います
2重根号の外し方【練習問題】
ここでは内側のルートの前が2でないときの2重根号の外し方を解説します。
問題 次の2重根号を外しなさい
\[ \sqrt{9+4\sqrt{5}}\]
この問題は内側のルートの前が2でなく4になっています。
2重根号を外すためにはこの部分が2である必要があります。
解答
\begin{align}
&\sqrt{9+4\sqrt{5}}\\
&=\sqrt{9+2\times 2\sqrt{5}}\\
&=\sqrt{9+2\sqrt{2^2\times 5}}\\
&=\sqrt{9+2\sqrt{20}}
\end{align}
これでルートの前が2になりました。あとは最初の問題と同じようにすると2重根号を外すことができます。
たすと9,かけると20になる2つの数を見つけると「5」と「4」なので
\begin{align}
&\sqrt{9+2\sqrt{20}}\\
&=\sqrt{5}+\sqrt{4}\\
&=\sqrt{5}+2 \; \cdots (答)
\end{align}
続いて2がないタイプです。
問題 次の2重根号を外しなさい
\[ \sqrt{3+\sqrt{5}}\]
この問題も\(\sqrt{5}\) の前に2がありませんので、次のような変形をしていきます。
\(3+\sqrt{5}\) を分数にして,分母分子に2をかけることで,\(\sqrt{5}\) の前に2を作ります。
\begin{align}
&\sqrt{3+\sqrt{5}}\\
&=\sqrt{\frac{3+\sqrt{5}}{1}}\\
&=\sqrt{\frac{(3+\sqrt{5})\times 2}{1\times 2}}\\
&=\sqrt{\frac{6+2\sqrt{5}}{2}}\\
&=\frac{\sqrt{6+2\sqrt{5}}}{\sqrt{2}}\\
\end{align}
これで内側のルートの前が2になりました!
ここで分子\(\sqrt{6+2\sqrt{5}}\) の2重根号を外します。
足すと6,かけると5となる2つの数を見つけると,「5」と「1」なので
\begin{align}
&\sqrt{6+2\sqrt{5}}\\
&=\sqrt{5}+\sqrt{1}\\
&=\sqrt{5}+1
\end{align}
となります。これを用いて,分母を有理化すると次のようになります。
\begin{align}
&\frac{\sqrt{6+2\sqrt{5}}}{\sqrt{2}}\\
&=\frac{\sqrt{5}+1}{\sqrt{2}}\\
&=\frac{(\sqrt{5}+1)\times \sqrt{2}}{\sqrt{2}\times \sqrt{2}}\\
&=\frac{\sqrt{10}+\sqrt{2}}{2}\; \cdots (答)\\
\end{align}
2重根号を外すことができました!
まとめ
今回は2重根号の外し方について解説しました。
公式をもう一度載せておきます。
2重根号を外す公式
\( a>0,b>0\) のとき
\( \sqrt{(a+b)+2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}+\sqrt{b} \)
\( a>b>0\) のとき
\( \sqrt{(a+b)-2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}-\sqrt{b} \)
2重根号を外すときのポイントは,上の公式を使えるようにするために,内側のルートの前の数字を「2」にすることです。
ここが「2」になれば、たすと○○、かけると△△となる2つの数を見つけることで、2重根号を外すことができます。
ぜひ何度も練習して2重根号の外し方をマスターしましょう。