・ 高校数学を勉強するための基礎を固めたい!
こんな悩みに答えます。
本記事では文字を使った式(文字式)のきまりについて解説します。
✔︎本記事の内容
・文字式の積のきまり
・文字式の商のきまり
\( \; 2a \; \) や\(\; -3xy^2 \; \) のように文字を使って表される式を「文字式」といいます。
高校数学で登場する多くの式は,このような文字式を使って表現されていますので,「文字式のきまり」をきちんと身につけておくことは必須ですよ!
それでは,さっそく見ていきましょう。
文字式の「積」のきまり
文字式の積のきまりは以下の3つです。
文字式の「積」のきまり
① かける記号\( \; \times \; \) は省略する
② 数字は文字の前に書く
③ 同じ文字の積は,2乗,3乗などで表す
※文字はアルファベッド順に書くのが原則
※2乗,3乗,\( \cdots \) のことをまとめて「累乗(るいじょう)」とよびます。
例を見ていきましょう!
① かける記号\(\; \times \;\) は省略する
【例】
\[ x\times y=xy\]
\[ a\times b \times c=abc\]
このように\( \; \times \; \) は省略します。
そして,原則として文字はアルファベッド順に並べておきます。
ちなみに高校の数学では
\[ 2 \times 3 =2 \cdot 3 \]
のようにかける記号\( \; \times \; \)を\( \; \cdot \; \)で表すことがありますので覚えておきましょう。
\( \; \cdot \; \)で表すと,式全体がすっきりと見やすくなるので便利ですね。
② 数字は文字の前に書く
【例】
\[ a\times 2=2a\]
\[ xy\times (-3) =-3xy\]
このように,文字と数字の積では「数字を文字の前」に書きます。
数字を文字の後ろにつけて,\( \; a3 \; \)という文字式はありませんので,注意しましょう。
③ 同じ文字の積は,2乗,3乗などで表す
【例】
\[ a\times a=a^2\]
\[ x\times x \times x =x^3\]
このように,同じ文字の積は,2乗,3乗などで表します。
2乗,3乗,4乗,・・・のことを「累乗(るいじょう)」とよびましたね。
ちなみに,累乗の「累」という漢字には「次々と重ねる」という意味があります。
練習問題(文字式の積のきまり)
それでは,文字式の積のきまりについての練習問題を解いてみましょう!
問題 次の式を,文字式のきまりにしたがって表せ。
\[ (1) \times 5 \times a \times b \]
\[ (2) 1\times x \times x \]
\[ (3) (-1)\times a \times a \times a \]
\[ (4) x\times y-y\times z \times 3 \]
解答
\[ (1) b\times 5 \times a \times b =5ab^2 \]
数字の\(\; 5 \; \) を先頭に書き,\(\; b\times b \; \)は\(\; b^2\; \) で表します
\[ (2) 1\times x \times x =x^2\]
文字の前の\(\; 1 \; \) は省略します
\[ (3) (-1)\times a \times a \times a =-a^3 \]
文字の前の\( \; -1 \; \) は\(\; 1\; \)の部分を省略します
\[ (4) x\times y-y\times z \times 3 =xy-3yz \]
マイナスの記号「\( \; – \; \) 」は省略することができません
文字式の「商」のきまり
続いて,文字式の「商」のきまりについて解説します。
文字式の「商」のきまり
④ わる記号\( \; \div \; \) は分数の形にしておく
\[ □ \div △=\frac{□}{△} \]
例を見ていきましょう!
④わる記号\(\; \div \; \) は分数の形にしておく
【例1】
\[ x\div y= \frac{x}{y}\]
わり算の記号「÷」の後にある\( \; y\; \)を分母に移動すればOKです。
【例2】
\begin{align*}
a\times b \div c&=ab\div c \\
&=\cfrac{ab}{c}
\end{align*}
まず\(\; a \times b =ab \; \)としてから,わり算の記号「÷」の後にある\(\; c\; \)を分母に移動します。
練習問題(文字式の商のきまり)
それでは,文字式の商のきまりについての練習問題を解いてみましょう!
問題1 次の式を,文字式のきまりにしたがって表せ。
\[ (1) x\times 2 \div y \]
\[ (2) a\div (-2) \]
\[ (3) a\div b \times c \]
\[ (4) 3\times a \times a -(b+2)\div c \]
解答
\[ (1) x\times 2 \div y =\frac{2x}{y} \]
\( x\times 2 =2x \) としてから,\( y\) を分母に移動します
\[ (2) a\div (-2) =-\frac{a}{2}\]
\( \; -2\; \) を分母に移動しますが,分母の「-」は前に出しておきます
\[ (3) a\div b \times c =\frac{ac}{b}\]
次のようにします
\begin{align}
a\div b \times c &=\frac{a}{b}\times c\\
&=\frac{a}{b}\times \frac{c}{1}\\
&=\frac{ac}{b}
\end{align}
結果だけ見ると,わる記号「÷」の後の\(\; c\; \) を分母に移動しているだけですね
\[ (4) 3\times a \times a -(b+2)\div c =3a^2-\frac{b+2}{c}\]
かける記号「×」とわる記号「÷」を使わないで表します
\( (b+2)\div c=\displaystyle\frac{(b+2)}{c} \) としますが,分子にあるカッコは外しておきます
やや応用的な問題をもう一問解いてみましょう!
問題2 次の式を,文字式のきまりにしたがって表せ。
\[ a\div b \div c \]
解答
左から順に計算していくと
\begin{align}
a\div b \div c&=\frac{a}{b}\div c\\
&=\frac{a}{b}\div \frac{c}{1}\\
&=\frac{a}{b}\times \frac{1}{c}\\
&=\frac{a}{bc}
\end{align}
結果だけみると,わる記号「÷」の後の,\( \; b\; \) と\(\; c \; \) を移動させているだけです。この規則を覚えて使っても構いません!
まとめ
今回は「文字を使った式のきまり」について解説しました。
要点をまとめると以下の通りです。
文字式のきまり
① かける記号\( \; \times \; \) は省略する
② 数字は文字の前に書く
③ 同じ文字の積は,2乗,3乗などで表す
④ わる記号\(\; \div \; \) は分数の形にしておく
どれも基本的ですが大事なルールです。しっかりと覚えておきましょう!
今回は以上です。
最後までお読みいただき,ありがとうございました。