・一次関数\( y=ax+b \) をグラフで表すと、どうして直線になるの?
こんな疑問に答えます。
一次関数のグラフは中学校の数学の授業で習いますが、授業ではおそらく「一次関数を満たす点をたくさん取っていけば直線になっている」という説明だったと思います。
なぜ直線になるのか、私自身もしっくりこなかったのを覚えています。
そこで今回は「一次関数のグラフはなぜ直線になるのか」について、傾きの定義を用いて解説していきます!
「傾き」の定義について考える
まずは一次関数のことは考えずに、直線の「傾き」の定義を考えてみましょう。
「傾き」の定義
図のような直線があったとき、傾きを
\[ 傾き=\frac{yの増加量}{xの増加量} \]
と定義します。簡単に言ってしまえば
\[ 傾き=\frac{たて}{よこ} \]
ですね。
一つの直線に対する「傾き」はすべて同じ
ここで大事なのが「1つの直線に対する傾きはすべて同じ値である」ということです。
次の図のように1つの直線があった、直線上の2点をいくつか取って、傾きを考えてみます。
すると、図に現れる直角三角形\( ABC,\; AB’C’,\; AB”C”\) はすべて相似(同じ形)となっています。
理由は「2組の角(\( \angle A\)と直角の部分) がそれぞれ等しい」からです。
相似な三角形では、対応する辺の比が等しいことが分かっているので、いずれの三角形でも「たての長さ」と「よこの長さ」の比である
\[ \frac{たて}{よこ} \]
は同じになります。
つまり傾きは同じになるのです!
一次関数\( y=ax+b \) が直線になる理由
それでは、先ほどの「傾き」の定義を用いて、一次関数\( y=ax+b \) が直線になる理由を見ていきましょう。
まずは具体例で考えます。
一次関数\( y=2x+1 \) が直線になる理由
まずは一次関数\( y=2x+1 \) を満たす2つの点\( A(0,\; 1 ),P(p,\; 2p+1) \) を考えます。
\( p\) は実数であればどんな値でも大丈夫です。
ここで、この2点\( AP\) を通る直線の傾きを、定義に従って計算してみると
\begin{align}
APの傾き&=\cfrac{yの増加量}{xの増加量} \\
&=\frac{(2p+1)-1}{p-0}\\
&=\frac{2p}{p}\\
&=2
\end{align}
となり、「\( AP\) の傾き」は\( 2\) で一定であることが分かります。
ここで点P(\( p,\; 2p+1 \) )は、一次関数\( y=2x+1 \) 上のいかなる点も表すことができることに注目します。
すると「\( y=2x+1\) 上の定点\( A\) 」と「\( y=2x+1\) 上の任意の点\( P\) 」を通る直線の傾きはすべて\( 2\) で一定となることがわかります。
したがって、一次関数\( y=2x+1 \) は点\( A\) を通る直線であることがいえるのです。
一次関数\( y=ax+b \) が直線になる理由
では、上の議論を一般化して、一次関数\( y=ax+b \) が直線になる理由を見ていきましょう。
一次関数\( y=ax+b\) を満たす2つの点\( A(0,\; b ),P(p,\; ap+b) \) を考えます(\( p\) は実数)。
ここで、この2点\( AP\) を通る直線の傾きを、定義に従って計算してみると
\begin{align}
傾き&=\frac{yの増加量}{xの増加量} \\
&=\frac{(ap+b)-b}{p-0}\\
&=\frac{ap}{p}\\
&=a
\end{align}
となり、直線\( AP \) の傾きは\(a\) (一定)であることが分かります。
※一次関数\( y=ax+b \) において傾きが\( a \) である理由も分かります。
「\( AP\) の傾き」は\( a\) で一定。
先ほどと同じように、点P(\( p,\; ap+b \) )は、一次関数\( y=ax+b \) 上のいかなる点も表すことができることに注目しましょう。
すると「\( y=ax+b\) 上の定点\( A\) 」と「\( y=2x+1\) 上の任意の点\( P\) 」を通る直線の傾きはすべて\( a\) で一定であることが分かります。
したがって、一次関数\( y=2x+1 \) は点\( A\) を通る直線であることいえるのです。
まとめ
今回は、直線の傾きの定義を用いて、「なぜ一次関数のグラフが直線になるのか」について解説してきました。
\[ 傾き=\frac{yの増加量}{xの増加量} \]
と定義すると、ある一次関数上のどの2点の傾きも同じになるため、一次関数のグラフは直線になることがいえるのですね。
このような素朴な疑問を持つことは大切です。ぜひあなたの疑問も大切にして、数学と向き合ってみてください。
今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。