数学

「正弦定理」は「円周角の定理」と「内接四角形の性質」の内容を含んだ定理だった!

今回は「正弦定理」と「円周角の定理」「円に内接する四角形の性質」との関係について解説していきます。

実は、高校数学Ⅰの三角比で学ぶ「正弦定理」は、中学数学の円の性質で学ぶ「円周角の定理」「円に内接する四角形の性質」の内容を含んだ定理になっているのです。

本記事では、円周角の定理、円に内接四角形の性質、正弦定理の復習からはじめ、これらが実はつながっているという事実について解説をしていきます。

「全く関係ないと思っていたものが実は1つにつながってた」ことを理解できた瞬間は、数学の奥深さ、素晴らしさを感じることのできる貴重な機会でもあります。

そんな瞬間を一緒に共有していけたら嬉しいです!

まずは、それぞれの定理について見ていきましょう。

円周角の定理とは

円周角の定理は以下の2つになります。

円周角の定理①

1つの弧に対する円周角の大きさは中心角の半分

 

円周角の定理②

1つの弧に対する円周角の大きさはすべて等しい

①②セットで覚えておきましょう。

今回は証明は省略します。円周角の定理②は円周角の定理①から簡単に導くことができます。

円に内接する四角形の性質とは

円に内接する四角形の性質は以下の2つになります。

円に内接する四角形の性質①

1組の対角の和は\(180°\)

 

円に内接する四角形の性質②

1つの内角はその対角の外角に等しい

証明は省略しますが、①は円周角の定理を使って証明し、②は①から導くことができます。

正弦定理とは

正弦とはサイン(\(\sin\))のことで、正弦定理はサインに関する定理です。

正弦定理

△ABCの外接円の半径を\( R \) とすると

\[ \frac{a}{\sin A}=\frac{b}{\sin B}=\frac{c}{\sin C}=2R \]

が成り立つ。

△ABCにおいて、例えば辺\( a \),辺\( b \),角\( A\) ,角\( B \) のうち(向かい合う辺と角、2セット)、3つが分かっていて残りの1つを求めたいときに使います。

三角比の分野で出てくる式ですが、円との関係もある興味深い式です。

「正弦定理」は「円周角の定理」と「内接四角形の性質」の内容を含んでいる!

それでは、「正弦定理」が「円周角の定理」と「内接四角形の性質」の内容を含んだ定理である、ということについて見ていきましょう。

△ABCとその外接円を考え、円周上に点\( A \) とは別の点\( A’ \) を取ります。

ここで外接円の半径は\( R \) として、△ABCと△A’BCにそれぞれ正弦定理を適用してみます。

△ABCにおいて,正弦定理により

\[ \frac{a}{\sin A}=2R \cdots ①\]

△A’BCにおいて,正弦定理により

\[ \frac{a}{\sin A’}=2R \cdots ②\]

①②より

\[ \frac{a}{\sin A}=\frac{a}{\sin A’} \]

よって

\[ \sin A=\sin A’ \cdots ③\]

となります。

③を\( 0°≦ A ≦ 180°\) の範囲で解くと

\[ \angle A=\angle A’ ,\quad \angle A’=180°-\angle A\]

となります。理由は以下の図を参考にしてみてください。

\( y=\sin x \) のグラフで考えるのもおすすめです。

\( \angle A’=180°-\angle A\; \)は\( \; \angle A+\angle A’=180°\) と変形できるので

\[ \angle A=\angle A’ ,\quad \angle A+\angle A’=180°\]

が結論となります。

実は、\( \angle A=\angle A’ \) の場合が「円周角の定理」、\( \angle A+\angle A’=180°\) の場合が「内接四角形の性質」になっています。

それぞれ見ていきましょう。

\( \angle A=\angle A’ \)は「円周角の定理」

\(\angle A \)も\( \angle A’ \) も弧\( BC\) に対する円周角ですので、

\( \angle A=\angle A’ \) は円周角の定理②を表しています。

つまり、「正弦定理」が「円周角の定理」の内容を含んでいる、ということが言えるのです。

\( \angle A+\angle A’=180° \)は「内接四角形の性質」

では\( \angle A +\angle A’ =180°\) となるのはどんな場合なのでしょうか。

次の図を見てください。点\( A’\) は点\( A\) 以外の円周上の点で下ので、次のように弧BC上にくる場合もあります。

このとき,四角形ABA’Cは円に内接しており、

\[ \angle A +\angle A’ =180°\]

は内接四角形の性質「①1組の対角の和は\(180°\)」を示しています。

つまり、「正弦定理」は「内接四角形の性質」を含んでいる、ということが言えるわけです。

まとめ

今回は、「正弦定理」が「円周角の定理」と「円に内接する四角形の性質」の内容を含んだ定理になっている、という事実について解説をしました。

つまり「正弦定理は、円周角の定理と円に内接する四角形の拡張版」なのです。

三角比と円という全く別々で学ぶ定理が実は1つにつながっていた、というのは驚きですね。

数学の奥深さを感じることができたのではないかと思います。

正弦定理の証明の際に、円周角の定理を利用するので、やはり両者には密接な関係があったんですね。

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