数学

条件付き確率の公式と意味を分かりやすく解説します【練習問題あり】

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条件付き確率は,確率の分野ではもちろん,統計学においても非常に重要な概念です。

この記事では,条件付き確率の基本的な理解を目指し,条件付き確率の意味や公式の成り立ちについて解説します。

練習問題も用意していますので,問題も解きながら理解を深めていきましょう!

✓本記事の内容

・条件付き確率の意味

・条件付き確率の公式(個数バージョン)

・条件付き確率の公式(確率バージョン)

・条件付き確率の問題例

条件付き確率の意味

条件付き確率とは,あることがらが起こったという条件のもとで,別のことがらが起こる確率のことです。

条件付き確率

1つの試行における2つの事象\( A\) ,\( B\) について,事象\( A\) が起こったとして,そのときに事象\( B\) の起こる確率を「\( A\) が起こったときの\( B\) が起こる条件付き確率」といい,\( \; P_A(B) \; \) あるいは\( \; P(B|A)\; \) で表す。

これは,ある事象\( A\) が既に発生したという条件の下で,事象\( B \) がどれだけの確率で発生するかを計算するのに役立ちます。

高校の教科書では一般に記号\( P_A(B) \) が使われていおり,\( P\)の隣にある小さな文字\( A \) が条件を表しています。

\( P(B|A) \) の場合はカッコ内の右側にある文字\( A \) が条件を表す事象です。

それでは,例を見て確認していきましょう。

例1

袋の中に,1から5までの番号が書かれた赤玉と,6から8までの番号が書かれた青玉がある.この袋から1個の玉を取り出すとき,それが

赤玉であるという事象を\( A \)

偶数の番号であるという事象\( B\)

とする。取り出した玉が赤玉と分かったとき,その玉にかかれた番号が偶数である確率を求めよ。

「取り出した玉が赤玉と分かったとき,その玉にかかれた番号が偶数である確率」ですので,このような確率のことを「条件付き確率」といいます。

条件が「赤玉であるという事象」ですので,求める確率を記号で表すと\( \; P_A(B) \; \)となりますね。

ここで,ベン図を見てみましょう。

「取り出した玉が赤玉であると分かったとき」とありますので,ここでは全事象を赤玉は5個と考えます。

そして,5個の赤玉の中で番号が偶数である玉は\(\{ 2,\;\; 4\} \) の2個あるので,求める確率は

\[ P_A(B) =\frac{2}{5} \]

と確率を求めます。

これが条件付き確率の求め方です。

 

ポイント!

条件付き確率では、全事象を、条件に相当するものに変えてしまう。

条件付き確率の公式(個数バージョン)

一般に,全事象を\( U \) とするとき,2つの事象\( A,B\) について,条件付き確率\( P_A(B)\) は次の式で定義されます。

条件付き確率(個数バージョン)

\[ P_A(B) =\frac{n(A\cap B) }{n(A)} \]

分子の\( A \cap B \) は\( A \) と\( B \) の積事象,すなわち\( A \) と\( B \) がともに起こる事象です。

分母が\( n(A) \) となっていることから分かるように,条件付き確率\( P_A(B)\) においては

条件である事象\( A \) を全事象と考えるのがポイントです!

例2  

袋の中に,1から5までの番号が書かれた赤玉と,6から8までの番号が書かれた青玉がある.この袋から1個の玉を取り出すとき,それが

赤玉であるという事象を\( A \)

偶数の番号であるという事象\( B\)

とする。取り出した玉が偶数と分かったとき,その玉にかかれた番号が赤玉である確率を求めよ。

(問題設定は例1と同じ)

今回は条件が「取り出した玉が偶数であるという事象」なので,求める確率を記号で表すと\( \; P_B(A) \; \)となります。偶数は\( \{ 2,\; 4,\; 6,\; 8 \} \) の4個あり,このうち赤玉は\( \{ 2,\; 4\}\) の2個なので

\begin{align}
P_B(A) &=\frac{n(B\cap A) }{n(B)}\\
&=\frac{2}{4}\\
&=\frac{1}{2}
\end{align}

となります。

条件である\( B\) を全事象と考えているのが分かりますね。

条件付き確率の公式(確率バージョン)

条件付き確率は確率の比として表現することもできます。

次の条件付き確率の公式において,分母と分子をそれぞれ\( n(U) \) で割ってみましょう。

\begin{align}
P_A(B) &=\frac{n(A\cap B) }{n(A)} \\
&=\frac{\frac{n(A\cap B)}{n(U)} }{\frac{n(A)}{n(U)}}
\end{align}

ここで
\[\frac{n(A\cap B)}{n(U)}=P(A\cap B) \]
\[\frac{n(A)}{n(U)}=P(A) \]
であることを用いると,次の条件付き確率の公式(確率バージョン)を導くことができます。

条件付き確率(確率バージョン)
\[ P_A(B) =\frac{P(A\cap B) }{P(A)} \]

それでは,この式を利用した問題を解いてみましょう。

問題 あるイベントの入場者のうち,全体の45%が大学生で,全体の20%が前売り券で入場した大学生である。入場した大学生の中から1人を選ぶとき,その人が前売り券で入場している確率を求めよ。

解答

入場者全体から人が

「大学生であるという事象」を\( A \)

「前売り券で入場したという事象」を\( B \)

とすると,問題文から

\[ P(A)=\frac{45}{100}\]
\[ P(A\cap B)=\frac{20}{100}\]
であることが分かります。

求める確率は,条件付き確率\( P_A(B) \) なので

\begin{align}
P_A(B)&=\frac{P(A\cap B)}{P(A)} \\
&=p(A\cap B)\div P(A)\\
&=\frac{20}{100}\div \frac{45}{100}\\
&=\frac{20}{100}\times \frac{100}{45}\\
&=\frac{20}{45}\\
&=\frac{4}{9}
\end{align}

このように,条件付き確率の公式(確率バージョン)を用いて答えを導くことができました。

条件付き確率の問題例

問題 男子16人,女子24人,合計40人のクラスで通学方法の調査を行った。電車通学をしている男子は6人,電車通学している女子は生徒は10人であった。このクラスの女子を1人を選ぶとき,その生徒が電車通学をしている確率を求めよ。

解答

選ばれた1人が

「女子であるという事象」を\( F\)

「電車通学をしているという事象」を\( A\)

とすると

\[ P(F)=\frac{24}{40} \]
\[ P(F\cap A)=\frac{10}{40} \]

よって,求める確率は
\begin{align}
P_F(A)&=\frac{P(F\cap A)}{P(F)}\\
&=P(F\cap A)\div P(F)\\
&=\frac{10}{40}\div \frac{24}{40}\\
&=\frac{10}{40}\times \frac{40}{24}\\
&=\frac{5}{12}
\end{align}

となります。ここでは確率バージョンの公式を用いました。

個数バージョンの公式を用いて,次のように簡単に求めることも可能です。

別解

選ばれた1人が

「女子であるという事象」を\( F\)

「電車通学をしているという事象」を\( A \)

とすると
\begin{align}
P_F(A)&=\frac{n(F\cap A)}{n(F)}\\
&=\frac{10}{24}\\
&=\frac{5}{12}
\end{align}

 

それではもう1問解いてみましょう。

問題 男女比が3:2であるクラス全員に対して検定試験を行ったところ,男子で合格した人は全体の40%であった。この検定を受けた男子の中から1人を選び出すとき,その生徒が合格している確率を求めよ。

解答

選ばれた1人が

「男子であるという事象」を\( M\)

「検定試験に合格しているという事象」を\( A\)

とすると

\[ P(M)=\frac{3}{3+2}=\frac{3}{5} \]
\[ P(M\cap A)=\frac{40}{100} \]

よって,求める確率は
\begin{align}
P_M(A)&=\frac{P(M\cap A)}{P(M)}\\
&=P(M\cap A)\div P(M)\\
&=\frac{40}{100}\div \frac{3}{5}\\
&=\frac{40}{100}\times \frac{5}{3}\\
&=\frac{2}{3}
\end{align}

※今回扱っている条件付き確率は,数学者を含めた大論争になったといわれているモンティホール問題でも登場します。興味のある方はこちらの記事もぜひご覧ください!

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まとめ

条件付き確率の公式は「個数」と「確率」両方で表現することができました。

個数で表現

\[ P_A(B) =\frac{n(A\cap B) }{n(A)} \]

確率で表現

\[ P_A(B) =\frac{P(A\cap B) }{P(A)} \]

この条件付き確率の公式は,確率の乗法公式やベイズの定理などにつながる重要な公式です。

ぜひ,きちんと理解して使えこなせるようにしておきましょう。

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数学・統計学
シグマ先生
数学講師/Udemyベストセラー講師/数学の苦手を治します/塾・予備校・高校講師歴20数年/分かりやすい解説/偏差値40から65へ/数学検定対策/数学で困っている人の役に立ちたい

妻・子供2人と4人暮らし。週末はキャンプやスキー、温泉旅行などアクティブに活動中/数学検定1級
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