半世紀近く弁護士として、民事、刑事のさまざまな事件を経験され、今まで1万人を超える人生を見てきた西中務さん。
本書では、西中さんが多くの方と関わる中で学んだ「運のよくなる生き方」について、6つの観点「運・罪・恩・徳・言葉・善」から紹介されています。
たくさんの人と関わってきたベテラン弁護士ならではの、具体的エピソードを交えた話はとても説得力があります!
それでは、本書から得た5つの気づきをご紹介します。
立派なことをしたのに、運を落とすことがある
世の中には、大変立派なことをしたのに、報われないケースがあります。西中さんによると、決して珍しいことではないそうです。
高齢で寝たきりになった女性を、その方の長男の奥さんが10年以上にわたり面倒を見ていたというエピソードがありました。
寝たきりの人の面倒を見るのは非常に大変で、それが10年以上ですから、本当に立派なことです。しかし、その奥さんが「やってあげている」という高慢な態度を取ったばかりに、人間関係が悪くなり、遺産相続にも反対される羽目になったそうです。
「大変なこと、立派なことには ”高慢の罠” がある」
せっかくの努力や苦労が不幸につながらないように気をつけていきたいと思いました。
謙虚が一番ですね。
運を良くする最もわかりやすい方法が「争わないこと」
弁護士として、長年たくさんの「争い事」に関わってきた、西中さん。
そもそも、人と人との争いごとがあるから弁護士という仕事が成り立っているはずです。
しかし、西中さんは、相談に来られた方には、必ず
「争い事を避けるようにお勧めしている」そうです!
偉いですよね!
弁護士は争ってくれた方が儲かるのですが、人様を不幸にするのがわかっていて、止めないわけにはいかないのだそうです。
争わないことで運が良くなる!
争いに関する専門家が言うのだから間違いありません。
さらに本書では、浮気の止め方を例にして、争い事を避ける方法をわかりすく説明されています。
浮気を止める方法(例)
詳しくは本書をお読みいただきたいのですが、要点は次の通りです。
- 浮気で相談に来る奥さんは、どうしたら浮気をやめさせるかを知りたいが、何をしてもご主人の浮気は止まらない。
- 怒っても、泣いても、人から意見してもらっても、やめてくれない。
- ご主人は困っていないし、好きでやっているので簡単には変わらないことを告げる。
- 困っているのは奥さん。
- ご主人に対する奥さんの態度を振り返ってもらう。
- 騙されたと思って、奥さんに態度を変えてもらう。
- するとほとんどのケースで、浮気は止まる。
というこどです。まさに、「争わない解決法」でした。
争いを避ける方法は「困っている方が気持ちを変える」こと。
つまり争わないことなのです!
この方法は私自身もいろいろな場面で体験し、効果を実感しています。
道徳的な罪が運を落とす
本書で目に留まったのが「犯罪ではないが、道徳的な罪」というフレーズでした。
道徳的な罪とは?
「道徳的な罪」とは、「法律は破っていないけれど、人に迷惑をかけていることによる罪」のことです。
受験や就職などで、いくつも合格を取ってしまうことも道徳的な罪になるそうです。自分に必要な合格は一つのはず。余計に取った合格のせいで、他人の可能性を閉ざしてしまうからです。
私もこんな形で過去に道徳的な罪を犯していたんだと反省しました。
モラロジーの教え
私は知らなかったのですが、無意識に道徳的な罪を犯してしまうことを研究する学問に「モラロジー」というものがあるそうです。
モラロジーとは、モラル(道徳)とロジー(学問)を組み合わせた新しい学問分野の名称で、このモラロジーでは、「人は生きている限り、道徳的な罪を犯している。」と考えるそうです。たとえば、
- 毎日の食事でも、肉・魚・野菜などの生命を奪っていただいている。
- 毎日利用する交通機関だって、それを建設する際に事故で亡くなった方がいるかもしれない。
モラロジーではこのような罪を重ねることを、「道徳的な負債」と呼ぶそうです。そして、この道徳的な負債を放っておくと、運が落ちてしまうというのですから気をつけなければなりません。
では、どうしたらよいのか?
道徳的な罪に気づき、感謝の心を持てば運が落ちるのを防げます。
具体的には、
- 争いが起こってしまう原因のひとつが「道徳的な罪に気づかない」こと
- まずは道徳的な罪に気づくこと。自分の命が、膨大な犠牲のおかげで成り立っていると気づくようにすること。
- 生活のすべてに、必ずだれかのおかげがあるから、あらゆるものに感謝の心を持つこと
- すると誰かから少々の迷惑をかけられたところで、お互いさまだと思えるようになる。
- 結果として、争う気持ちも起こらなくなり、運が落ちるのを防げる
といった感じかなと理解しました。
道徳的な罪に気づき、恩恵に感謝する。そして争わない!
結果として、不運を減らし、幸運へと向かっていくことができるのです。
恩返し、恩送りが運を開く
「生きているうちに犯してしまう、法には触れない道徳上の罪」の他に「人が生きていくのにこうむってきた恩恵」、すなわち「恩」もまた、道徳的な負債となるそうです!
えっ?「恩」が道徳的な負債??
私たちの三大恩人
私たち人間に三大恩人があると、モラロジーでは説きます。
- 国の恩
- 親や祖先の恩
- 教えの恩(恩師)
道徳的な罪と同様に、こうした恩が道徳的負債であると西中さんは説きます。
恩である負債を返すには?
ではこのような負債を返すためにはどうしたらよいのでしょうか?
恩を返そうにも不可能な場合だってあります。自然から受けた恩、亡くなった親から受けた恩、国からの恩などは、恩返しが難しい。
その解決法が「恩送り」です!
恩送り・・・恩を与えてくれた人などに直接返すのではなく、別の人に返すこと。
直接恩返しができないのなら、他のだれかにその恩を返せばいい。いつでも、誰でも、どんな状況でも可能な「恩送り」という考え方、すばらしいです!
とにかく、運を良くしたいのなら、まずは恩に気づくこと。人だけではなく、自然や国からの恩にも気づけるようにしていくこと。そして、できるところからこの「恩送り」を実践していくことが大切だと感じました。
「恩を忘れないこと」これが人の運を良くする大切なことなのですね。
「運」は人徳しだい
「運は人徳で決まる」。長年、多くの人を見てきた西中さんはそう断言しています。
人間性が良いと、一見、損な生き方をしているようでも、運が味方して成功します。人柄の悪い人は、一時は成功しても、運に見放され転落してしまいます。
理由は人徳があると争いが少ないからだそうです。西中さんが長い人生経験から一つの公式ですね。
「運は人徳によって左右される」
これは、古来より良く知られている事実です。
2000以上も前に孟子が残した言葉
「得を積めば、富や権力などは自然に手に入る」
が真理をついています。富や権力ばかり手に入れようとしても、人徳が備わっていなければ無意味なものになってしまうのでしょう。
こんなエピソードと紹介されていました。
ある住宅販売会社の社長さんは、社員の写真を社長室にびっしりと貼って、朝、会社に来ると必ず深々と頭を下げ、お礼を言っているそうです。
会社から帰るときにも、同様にお礼を言います。
そんな社長の人間性が社員の怒りを鎮めたという、「恩」に関する興味深いエピソードでした。
人徳を磨くための一例として「六つの心」、別名「ロータリー精神」も紹介されていました。これは素晴らしい!
- 「おはようございます」という明るい心
- 「はい」という素直な心
- 「すみません」という反省の心
- 「私がします」という積極的な心
- 「ありがとう」という感謝の心
- 「おかげさまで」という謙虚な心
印刷して、部屋の壁に貼っておこうかな、と思うくらい良い言葉ですよね。
まとめ
今回ご紹介したのは、西中さんの教えのうちのほんの一部分にすぎません。
本書には「運を良くするための方法」が、たくさん紹介されています。それも、長年、弁護士としてたくさんの人とかかわってきたからこそ出てくる、説得力のある言葉ばかりです。
”争い” をやめ ”人の役に立つ” ことをすれば、”神様が喜び” 運が開ける
ぜひ、本書を手元に置いて、運を少しでもあげるためにできることを実践していきましょう。
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