今回は、数学検定1級の「確率統計」の分野について、過去問分析をしてみます。
数学検定1級では、1次と2次の両方とも確率統計からの出題があります。
●1次検定・・・確率統計から1題(必須)
●2次検定・・・統計から1題(選択)
どちらも、シッカリと対策を立てれば、短期間で得点源にすることができる「おいしい」分野です。
それでは、詳しく見ていきましょう。
【出題傾向】1次検定
確率統計から1題、必ず出題されます。他の問題よりも、解きやす場合が多いです。
ほとんど出題パターンが決まっていて、以下の項目を学習しておけば1次は楽勝です!
・平均、分散、共分散(離散型・連続型)
・二項分布(ベルヌーイ試行)
・相関係数
・回帰直線
・ポアソン分布
・正規分布
【出題傾向】2次検定
選択問題(問題4)に統計が出題されます。1次よりは、突っ込んだ勉強が必要ですが、出題パターンはある程度限られています。
メインはほぼ以下の3パターンです!
・回帰直線(最小二乗法の利用)
・推定
・検定
回帰直線を求める問題は、計算量が多くなります。
推定はほぼ区間推定。
推定と検定がセットになった問題も多いです。
詳しい過去問分析
以下のテキストや検定問題を用いて過去問分析をしてみます。
- 「完全解説問題集 発見」7回分
- 「合格ナビ!1級1次」 巻末の過去問 2冊分
- 検定問題「第336回」「第339回」「第344回」
過去問分析 1次検定
発見
第1回 |
カードを取り出す問題(離散型)
①平均 ②分散 |
発見
第2回 |
二項分布の問題
正規分布表を利用 |
発見
第3回 |
分散を求める問題(連続型)
|
発見
第4回 |
①相関係数
②回帰直線 |
発見
第5回 |
ポアソン分布
①1変数の確率 ②2変数の和の確率 |
発見
第6回 |
正規分布表から確率を求める問題
|
発見
第7回 |
カードを取り出す問題(離散型)
①平均 ②分散 |
合格ナビ!
2016年 |
さいころの確率(離散型)
①平均 ②分散 |
合格ナビ!
2017年 |
球を取り出す問題(離散型)
①分散 ②共分散 |
第336回 | 同時確率分布
①平均 ②共分散 |
第339回 | ポアソン分布
①1変数の確率 ②2変数の和の確率 |
第344回 | 確率密度関数(連続型)
①平均 ②分散 |
このように、ほとんどが型通りの問題です。
離散型または連続型確率分布の「平均・分散・共分散」を求める問題が圧倒的に多い、という傾向がありました。
第339回検定で出題されたポアソン分布の問題は、過去問題集「発見」の第5回と全く同じです!
過去問分析 2次検定
発見
第1回 |
(1)母比率の推定
(2)信頼区間の幅を一定の数値以内に制限したときに必要な標本数 |
発見
第2回 |
1点で交わらない3直線に最も近い点を求める問題
(1)距離の最大値が最小になるようにする場合 (2)最小二乗近似した場合 |
発見
第3回 |
(1)相関係数の推定
(2)相関係数の検定 |
発見
第4回 |
(1)母平均の推定(母分散未知 小標本)
(2)母平均の検定(母分散未知 小標本) 自由度n-1のt分布 |
発見
第5回 |
(1)母比率の推定
(2)信頼区間の幅を一定の数値以内に制限したときに必要な標本数 |
発見
第6回 |
回帰直線
常用対数も利用 |
発見
第7回 |
(1)仮説検定 二項分布を正規分布で近似
(2)第一種の過誤の問題 → 事実上、有意水準の上限を求める問題 |
合格ナビ!
2016年 |
適合度検定
血液型の問題 |
合格ナビ!
2017年 |
指数分布(統計量は示されている)
(1)仮説検定 (2)信頼区間を求める |
第336回 | 二項分布とF分布の関係
仮説検定 |
第339回 | 回帰直線
最小二乗法による |
第344回 | 母平均の推定(母分散未知 小標本)
自由度n-1のt分布 |
出題されている問題は、ほとんどが「回帰直線」「区間推定」「仮説検定」であることが分かります!
ちなみに「発見」の第1回と第5回は、まったく同じタイプです。
まとめ 1級の確率統計はねらい目
今回は数学検定1級の「確率統計」について、過去問分析をしてみました。
過去に出題されている問題は、ほぼパターン化しているため、対策は立てやすいです。
「統計学」は初めて学ぶ人にとっては、少しとっつきにくさがあるかもしれません。しかし、一度理解してしまえば、1級の2次検定といえども確実に得点できるようになります。統計量などを覚えながら練習あるのみです。
私自身、数学検定に向けて、統計の勉強を継続することで、統計が結構好きになりました。思わぬメリットでした。
ぜひ「確率統計」を得点源にして、1級合格を目指しましょう。