数学検定

【微分方程式の解法】未定係数法・定数変化法・微分演算子を比較してみた【数学検定1級受検ではどれを使うべきか】

数学検定1級を受検するときに、避けて通れない「微分方程式」。

過去の問題を見てみると、微分方程式は1次検定または2次検定のどちらかで必ず出題されていますので絶対に外せません↓

【完全版】数学検定1級の勉強法【微分方程式】

私は微分方程式の勉強をしていく中で、「特殊解を求める方法がいろいろあって、どれを使ったらいいかわからない?」という疑問がでてきました。

みなさんも悩みませんでしたか?

今回は、非同次線形微分方程式の特殊解を求める方法として「未定係数法」「定数変化法」「微分演算子」の3つを比較し、それぞれのメリット・デメリットを紹介していきます。

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それぞれの解法とそのメリット・デメリット

「未定係数法」「定数変化法」「微分演算子」の3つの方法について、私が考えるメリット・デメリットは以下の通りです。

未定係数法

特殊解の形があらかじめ分かっている場合、微分方程式に直接代入して特殊解を定めていく方法.

詳細は省略します

メリット

◎微分と係数比較で特殊解が求まる

◎わかりやすく労力が少ない

デメリット

◎覚えることがやや多い

定数変化法

2階非同次線形微分方程式\[y^{\prime\prime}+P(x)y’+Q(x)y=R(x)\]

の特殊解を\( Y(x) \) とすると

\begin{align*}
Y(x)=-y_1\int_P\frac{y_2 \cdot R(x)}{W[ y_1,\; y_2] }dx\\
+y_2\int_P\frac{y_1 \cdot R(x)}{W[ y_1,\; y_2] }dx
\end{align*}

ただし、\(W[ y_1,\; y_2] \)は\(y_1, y_2\)のロンスキー行列式

\(\{ y_1,\; y_2\}\)は同次方程式の基本解

\(\displaystyle{\int _P}\)は原始関数の1つを表す

メリット

◎覚える式は一つだけ

デメリット

◎積分計算が必要

◎計算が複雑になりやすい

微分演算子

演算子法と呼ばれるもので、微分方程式を代数的問題に変換して解く方法です。

\( n\)回微分可能な関数\( f(x) \) に対して、\( n \) 階の微分を
\[ \frac{d^n}{dx^n}f(x)=D^nf(x) \]
と書く.この\( D \) を微分演算子といい、\( D \)の多項式を用いて微分方程式を解いていく方法.

 

メリット

◎最も早く、簡単に特殊解が求まる

デメリット

◎一通り学習するのに時間がかかる

◎覚える式がやや多い

参考書籍

それぞれの解法については、以下の書籍も参考にしてみてください。

私はこの本で微分方程式の基礎を身につけました。
めちゃくちゃ分かりやすい本です!

微分演算子については、公式が細かく分類されていますので、他の参考書の記述とやや異なります。

微分方程式の教科書的存在です。
私は辞書的にこの本を使いました。

本書の第6章が微分方程式です。
ここでは「未定係数法」と「微分演算子」が扱われています。

【実践】3通りの方法で微分方程式を解く

それでは、3通りの方法で、実際の問題を解いてみましょう。

(注)同じ解法を使っても、問題の種類によって、解きやすさは変わります。

今回扱う問題は次の「2階線形非同次微分方程式」です。

\[ y^{\prime\prime}+y=\sin 2x \cdots (A)\]

特殊なタイプですね。

1.未定係数法

【一般解】

同次方程式は
\[ y^{\prime\prime}+y=0 \]特性方程式\(t^2+1=0\)を解くと
\begin{align*}
t&=\pm i =0\pm1i
\end{align*}これより\(y^{\prime\prime}+y=0\)の基本解は
\[ \{ e^{0\cdot x}\sin 1\cdot x,\;\; e^{0\cdot x}\cos 1\cdot x\} \]すなわち
\[ \{ \sin x,\;\; \cos x\} \]となる。したがって一般解は
\begin{align*}
y=C_1\sin x +C_2\cos x\\
(C_1,C_2は任意定数)
\end{align*}

【特殊解】

特殊解を\(Y(x)\)とする.\[ Y(x)=A\sin 2x+B\cos 2x \]とおくと
\begin{align*}
&Y'(x)=2A\cos 2x -2B \sin 2x\\
&Y^{\prime\prime}(x)=-4A\sin 2x-4B\cos 2x\\
\end{align*}これらを\( (A) \)の左辺に代入
\begin{align*}
&Y^{\prime\prime}(x)+Y(x)\\
&=-3A \sin 2x -3B\cos 2x
\end{align*}これが(A)の右辺\(\sin 2x\)に等しくなるので\[ -3A=1,\;\; -3B=0\]
これより\[ A=-\frac{1}{3},\;\; B=0\]
ゆえに\[ Y(x)=-\frac{1}{3}\sin 2x \]以上から
\begin{align*}
y=C_1\sin x +C_2\cos x-\frac{1}{3}\sin 2x\\
(C_1,C_2は任意定数)
\end{align*}

わりと簡単です!

2.定数変化法

【一般解】

1.未定係数法と同じ
\begin{align*}
y=C_1\sin x +C_2\cos x\\
(C_1,C_2は任意定数)
\end{align*}

【特殊解】

先に紹介した公式において
\begin{align*}
&y_1=\sin x ,\;\; y_2=\cos x\\
&R(x)=\sin 2x
\end{align*}
とすると
\begin{align*}
W[ y_1,\; y_2]&=
\begin{vmatrix}
\sin x & \cos x \\
(\sin x)’ & (\cos x)’ \\
\end{vmatrix} \\
&=
\begin{vmatrix}
\sin x & \cos x \\
\cos x & -\sin x \\
\end{vmatrix} \\
&=-\sin ^2 x-\cos ^2x \\
&=-1
\end{align*}であるから\begin{align*}
Y(x) =&-\sin x \int _P \frac{\cos x \cdot \sin 2x}{-1}\; dx\\
&+\cos x \int _P \frac{\sin x \cdot \sin 2x }{-1}\; dx \\
=&\sin x \int _P \cos x \cdot \sin 2x\; dx\\
&-\cos x \int _P \sin x \cdot \sin 2x \; dx \\
=&\sin x \int _P \cos x \cdot 2\sin x \cos x \; dx\\
&-\cos x \int _P \sin x \cdot 2\sin x \cos x \; dx \\
=&2\sin x \int _P \sin x \cdot \cos^2 x \; dx\\
&-2\cos x \int _P \sin^2 x \cdot \cos x \; dx \\
=&-2\sin x \int _P (\cos x)’ \cdot \cos^2 x \; dx\\
&-2\cos x \int _P \sin^2 x \cdot (\sin x)’ \; dx \\
=&-2\sin x \cdot \frac{\cos ^3 x}{3}-2\cos x \cdot \frac{\sin^3 x}{3} \\
=&-\frac{2}{3}\sin x \cdot \cos x (\sin ^2 x +\cos ^2 x)\\
=&-\frac{1}{3}\sin 2x
\end{align*}以上から
\begin{align*}
y=C_1\sin x +C_2\cos x-\frac{1}{3}\sin 2x\\
(C_1,C_2は任意定数)
\end{align*}

この解法は常微分方程式の解法として一般的な方法だそうですが、積分計算が大変になる場合が多いです。

3.微分演算子を用いる方法

微分方程式\( (A) \) は次のように表すことができる
\begin{align*}
(D^2+1)[y]=\sin 2x
\end{align*}

【一般解】

\[ D^2+1=(D-0)^2+2^2 \]であるから、基本解は
\[ \{ e^{0\cdot x}\sin 1\cdot x,\;\; e^{0\cdot x}\cos 1\cdot x\} \]すなわち
\[ \{ \sin x,\;\; \cos x\} \]となる。したがって一般解は
\begin{align*}
y=C_1\sin x +C_2\cos x \\
(C_1,C_2は任意定数)
\end{align*}

【特殊解】

\begin{align*}
&(D^2+1)[Y(x)]=\sin 2x より\\
&Y(x)=\frac{1}{D^2+1}[\sin 2x]
\end{align*}

公式

\(f(-a^2)\neq 0\)のとき
\begin{align*}
&\frac{1}{f(D^2)}[\sin (ax+b)]\\
&=\frac{1}{f(-a^2)} \sin (ax+b)
\end{align*}

今回のケースは、上の公式において\[ a=2,\; b=0,\; f(D^2)=\frac{1}{D^2+1} \]としたもの.したがって\begin{align*}
Y(x)&=\frac{1}{D^2+1^2}[\sin 2x]\\
&=\frac{1}{-2^2+1^2}[\sin 2x]\\
&=-\frac{1}{3}\sin 2x
\end{align*}以上から\begin{align*}
y=C_1\sin x +C_2\cos x-\frac{1}{3}\sin 2x \\
(C_1,C_2は任意定数)
\end{align*}

めちゃくちゃ早くて便利な方法です!

まとめ 数検1級受検だけを考えるならば未定係数法で大丈夫

今回は簡単な微分方程式について、3つの解法の比較をしてみました。

・未定係数法は簡単で労力も少ない。やや覚えることが多い。

・定数変化法は覚える公式が一つ。ただし、積分計算が複雑になりやすくミスが起きやすい。

・微分演算子を用いる方法は大変すぐれた方法。短時間で簡単に解くことができる。しかし、一通り勉強して公式を覚えるのにまとまった時間が必要。

微分演算子を使わないと解けない問題はないので、そのあたりをどう考えるかです。

ということで

勉強時間があまり確保できない場合は

「未定係数法」がおすすめ!

数学検定1級受検のみを考えるのであれば「未定係数法」をきちんと身につけておけば、線形微分方程式のほとんどの問題は解くことができます。

実際、過去問分析をしてみて分かりました↓

【数学検定1級】過去問分析「微分方程式」

微分方程式は計算の型を身につければ、確実に得点できるようになる分野です。

数検1級受検を考えている皆さんはぜひ得点力を身につけて合格を勝ち取りましょう!

 

 

 

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