本記事では「黄金比」とよく比較される「白銀比」について解説をしていきます。
✓本記事の内容
- 白銀比とは何か?
- 白銀比はどのようなところで使われているか?
- 白銀比はどのように決めたのか?求め方は?
- A判とB判について
白銀比はとても理にかなった比で、計算でも簡単に求めることができます。
ではさっそく見ていきましょう!
白銀比とは?
白銀比とは比「\( 1 \) :\( \sqrt{2} \)」のことをいいます。
\(\sqrt{2}\)は約\( 1.414\) なので,「\( 1 \) :\(1.414 \)」のように表すこともあります。
この白銀比は「神の比率」とも呼ばれ、様々な建築物に使われてきました。
キャラクターやコピー用紙の縦横の長さにも使われています。
例えばA4用紙は「(縦の長さ):(横の長さ)」=「\( 1 \) :\( \sqrt{2} \)」で白銀比になっています。
白銀比の「\( 1 \) :\(1.414 \)」を簡単な比に直すとおよそ「\( 5 \) :\( 7 \)」です。
白銀比と比較される比に「黄金比」がありますが、黄金比は「\( 1 \) :\( 1.618 \)」です。この比はおよそ「\( 5 \) :\( 8 \)」なので、黄金比の方が白銀比よりもやや横長になっているのが分かります。
白銀比は建築物やキャラクターにも使われている
白銀比は美しい比として知られており、建築物やキャラクターなど身の回りでよく使われています。
一例を挙げてみます。
法隆寺
まずは法隆寺金堂と法隆寺五重塔です。
図で赤く示した、長さが「\( 1 \) :\(1.414 \)」となっています。
銀閣寺観音堂や伊勢神宮の神社など昔からある建築物には白銀比が使われているケースが結構あるようです。
東京スカイツリー
最近の建築物である東京スカイツリーでも白銀比を見つけることができます。
東京スカイツリーは全高が634mで、展望回廊までの高さは450mですが、これら高さの比「\( 634:450\) を簡単にするとおよそ「\( 1:1.41 \)」となり、白銀比であることが分かります。
見た目のバランスがよく、美しく感じませんか
ドラえもん
キャラクターにも白銀比は使われています。
図のようにドラえもんの横と縦の比が白銀比になっています。
この他にも「ハローキティ」「ミッキーマウス」「スヌーピ」などの縦横の比が白銀比になっていることが知られています。
ノートや教科書、コピー用紙
先ほども挙げましたが、A4用紙の縦と横の比は白銀比になっています。
A4,A5,B4,B5,・・・などA判やB判と呼ばれる用紙の縦横比はすべて白銀比です。
ノートや教科書の多くは縦と横の比が白銀比になっていることが分かっています。
白銀比はどのようにして出てくるのか?
それでは、白銀比「\( 1 \) :\( \sqrt{2} \)」はどのようにして出てきた比なのでしょうか?
ここでは、B5判のノートを例にとって、白銀比を計算で導いてみたいと思います。
「閉じたノート」と「開いたノート」が同じ形になるようにすると、縦横の比が白銀比になる!
B5判のノートは、ノートを閉じた状態の長方形と、ノートを開いた状態の長方形が同じ形、つまり相似になっています!
左側がノートを閉じた状態(横向きにしてます)、右側がノートを開いた状態を表しています。
ここで図のように、B5判のノートの「短い辺」の長さを\( 1 \) ,「長い辺」の長さを\( x\) とします。
すると、上の2つの長方形は同じ形、つまり相似なので
\[ 1:x=x:2\]
という関係が成り立ちます。
比の計算では「内側の積」と「外側の積」が等しくなるので
\[ x^2=2 \]
\( x>0\) なので
\[ x=\sqrt{2} \]
となります。
つまりB5判ノートの短い辺と長い辺の比は
\[ 1:x=1:\sqrt{2} \]
となるわけです。
白銀比が出てきましたね!
コピー用紙は半分に折っても同じ形
A4用紙なども、半分に折ると同じ形(相似)になるように作られています。
上のノートの例と同様の計算によって、短い辺と長い辺の比が
\[ 1:\sqrt{2}\]
となることが確かめられます。
半分に折っても同じ形だと、コピー機で拡大縮小したときにぴったり重なるので、とても都合がいいのです!
ちなみに、A3を折ったものがA4,A4を半分に折ったものがA5、A5を半分に折ったものがA6…、と半分に折ると番号が1つずつ増えていきます。
白銀比は「長方形を半分に折ると,もとの長方形と同じ形になる(相似である)」という条件から導かれる比なのです!
A判とB判について
最後に紙の大きさの規格について見ていきましょう。
紙の大きさにはA判,B判とよばれる規格があります。
これらについては、どの紙の大きさも縦横の辺の比が\( 1:\sqrt{2} \) の長方形となっています。
A判について
面積が\( 1\mbox{m}^2 \) で辺の比が\( 1:\sqrt{2} \) である長方形を「A0判」といいます。
これを次の図のように、次々に半分にしていったものを、A1判、A2判、A3判、・・・と呼びます。
先ほどご紹介した次の図を見てください。
右をA4判だとすると、左はその面積を半分にしたものなのでA5判となります。
ここで,\( x=\sqrt{2}\) でしたのでA5判からA4判に拡大する場合は、辺の長さを\( \sqrt{2}\) 倍する必要があります。
\( \sqrt{2}≒1.41\) で、これを100分率に直すと(100倍すると)141%です。
コピー機で141%などの表記があるのは、この理由からなのです。
ちなみにこのA判は19世紀末に、ドイツの物理学者オズワルドによって発案された規格で、現在では国際規格となり世界で使われています。
日本でも一般的なサイズになっていますね。
B判について
面積が\( 1.5\mbox{m}^2 \) で辺の比が\( 1:\sqrt{2} \) である長方形を「B0判」といいます。A0判より一回り大きいです。
これを次の図のように、次々に半分にしていったものを、B1判、B2判、B3判、・・・と呼んでいます。
B判は日本で発案された用紙サイズで、その始まりは美濃紙という和紙の一種だと言われています。
B判はコピー用紙やノートとしても広く使用されているため、なじみがあるという人も多いのではないでしょうか。学校で使われるテスト用紙などはB4が多いですよね。
まとめ
今回は神の比率とも呼ばれる白銀比について、その意味や例、計算方法についてご紹介してきました。
白銀比「\( 1:\sqrt{2}\) 」は、コピー用紙やノートなどで使われています。縦と横の比が白銀比である長方形は、半分に折っても同じ形なので、とても使い勝手が良いのです。
白銀比は、紙やノートだけでなく建築物やキャラクターなど様々なところで使わており、見た目のバランスがとれた比であることがうかがえます。
何か製作をする際は、白銀比を使ってみるのも面白いですね!
今回は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。