2019年の10月に無事、数学検定1級に合格することができました。
今回は、数学検定1級の参考書・問題集として定番本である
「ためせ実力!めざせ1級!数学検定1級 実践演習」
についてご紹介していきます。
本書は2012年に出版された本で、著者は「数学検定1級準拠テキスト」も執筆している中村力さん。数学検定協会監修で、バラエティに富んだ問題構成と分かりやすい解説が特徴の実践的な問題集です。
賛否の分かれる本書ですが、数検1級対策として使える本なのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
本書の特徴 過去問で構成されている
・過去問で構成されている
・難易度は3段階
・様々な分野の問題がランダムに用意されている
・模擬検定問題が1回分ある
まず特徴的なのが、この問題集は今までに出題された数学検定1級の過去問で構成されている点です。これは、まえがきに書いてありました。
難易度ごとに「ウォーミングアップレベル」「実践力養成レベル」「総仕上げレベル」の3つのレベルに分類されています。
「総仕上げレベル」は難易度やや高いので、ここまで解けるようになれば、2次検定でも通用するのではないでしょうか。
様々な分野の問題がランダムに紹介されていますので、系統的な学習には向いていません。
1級のための総仕上げ用、練習用に用いるとよいでしょう。
巻末には模擬検定問題も用意されています。模擬検定問題がある数学検定1級のテキストは貴重ですね。
おすすめポイント
私がこのテキストに実際に取んでみて、おすすめできるポイントをご紹介します。
・過去問を通して実践力を養える
・数学検定特有の問題が数多く掲載されている
・「参考」がためになる
過去問を通して実践力が養える
「本書の特徴」のところでも書きましたが、本書は過去問から構成されています。
様々な分野の問題がレベル別に並べられていますので、実践力を養うのに最適です。
ウォーミングアップ → 実践力養成 → 総仕上げ
と段階を踏みながら力をつけていくことができます。
「総仕上げレベル」は考える要素が多く含まれた問題です。この「総仕上げレベル」まで解けるようになれば、1級合格レベルに到達できると思います。これらの問題と向き合うことで思考力が鍛えられるはずです。
1級のレベルの「基礎」から「応用」までを体験できる問題集でもあります。
数学検定特有の問題が数多く掲載されている
この本の最大の特徴が「数学検定特有の問題」に触れることができるところです。
数学検定1級でよく出題される「整数」「因数分解」「連立方程式」「代数方程式」「級数」などの、数学検定特有の問題対策に最適です。
「複雑な因数分解」や「累乗根」に関する問題もあり、この手のタイプは本書のような過去問で勉強するしかないでしょう。とても役に立ちました。
「微分方程式」も基本問題からやや凝った問題まで用意されています。実践力を養うことができます。
数学検定1級に特有の問題は、市販のテキストで類題を探すのは大変ですので、本書や過去問で勉強するのがベターです。
「参考」がためになる
解説はとても丁寧で分かりやすいです。
別解もいくつか紹介されています。
「解説」で詳しい説明があったあとに、「参考」として「その問題の背景」や「学習していく上で参考になる事項」「解答の補足」等が書かれています。
これも本書の大きな特徴の1つです。
「参考」は問題の理解を深めるのにも役立ちます。多くの問題で「参考」がありました。
注意すべきポイント
・最近の傾向とやや異なる問題もある
・系統的な学習ができるテキストではない
最近の傾向とやや異なる問題もある
注意点の1つ目は、最近の傾向とやや異なる問題もあることです。
たとえば、以前には「複雑な因数分解」や「連立方程式」が出題されたことが多くありました。最近ではこのような問題はあまり見かけない気がします。
とはいえ、これらの分野も出題されないというわけではありません。
幅広く学習しておくことで、合格への一歩近づくのは間違いありません。
系統的な学習ができるテキストではない
本書はある分野を系統的に学習するのには不向きです。
数学検定1級の柱である「微分積分」や「線形代数」。頻出分野である「確率統計」「微分方程式」などを系統的に学習するためには、別のテキストが必要になります。
以下のページも参考にしてみてください。
本書はあくまで、「各分野の基礎を学んだ人が実践力を養うための問題集」です。
本書に取り組むのは、学習の最終段階がいいと思います。まずは、各分野を系統的に学習しし、あるていど力がついてから本書に取り組むことで、より大きな効果が期待できます。
まとめ 実践力をつけるのに最適
今回は、「ためせ実力!めざせ1級!数学検定1級 実践演習」についてご紹介してきました。
注意すべきポイントでも書きましたが、1級の勉強を始めてすぐにこの問題集に取り組むのはおすすめしません。ある程度系統的に学習を進めて、最後の仕上げに取り組むべき問題集です。
実は、私が本書を手にしたときは「1級って難しいなあ」「自分には無理だ」と感じ、この本はしばらく本棚の肥やしとなっていました。
一通り学習を終えて、過去問を解くステップに入った際に、もう一度本棚から本書を取り出してチャンレンジしてみました。取り組んでみたところ、本書の印象が180度変わりました。
本書は「おすすめポイント」のところでも書いたように、数学検定特有の分野の攻略に最適であり、全体を通して思考力のトレーニングになる良本でした。
最近の傾向とやや異なる問題もありますが、実力を伸ばしてくれるテキストには違いありません。アウトプット用の問題集としてぜひ利用してみてください!