今回は、数学検定1級の「整数」「複素関数」「幾何」の勉強法について考えていきます。
「微分積分や線形代数などと違って、整数・複素関数・幾何に関しては、何をどこまで勉強してよいかわからない。」
おそらく、このように思っている方も多いのではないでしょうか。今回は私の経験を中心に、整数、複素関数、幾何の勉強法についてご紹介していきます。
数検1級「微分積分」「線形代数」「確率統計」「微分方程式」の勉強法については、以下の記事をご覧ください。
整数について
整数問題は1次、2次ともに問題1で出題されることが多い分野です。
整数に関しては、次の問題集がおすすめです。
「1対1対応の演習 数学A」
「分野別 標準問題精講 整数」
私は1級の前に準1級を受検しましたが、その際にこれらのテキストで整数を勉強しました。
1対1対応の演習 数学A
基礎から実践的な問題まで扱っています。例題・演習題ともに18題でしたが、当時は整数に対しては苦手意識があったため、この18題を理解していくのはわりと大変でした。
「1対1対応の演習」は良問がそろっており、網羅性もあっておすすめですが、時間はかかります。本書に入る前にチャートなどで整数の解法パターンをあるていど頭に入れておいた方がよいでしょう。
本書には、数検1級では頻出の「合同式」についても詳しい説明があります。
分野別 標準問題精講 整数
第1部がセンター試験や中堅レベルまでの大学入試対策、第2部は東大・京大・医学部などの難関大対策となっています。私は、第1部だけを2回繰り返しました。
「精講」・・問題の考え方・アプローチ法などの詳しい解説があります
「解答」・・答案に書くべき論理と計算が書かれています
「精講」と「解答」ともにしっかりとページ数をとって、丁寧に書かれていますので、とても理解しやすいです。
旺文社の標準問題精講は初めて使ってみましたが「このシリーズ結構いいかも!」という
感触を得ました。
第1部の問題は36題、対応する演習問題が31題あります。
整数問題を解く際に必要となる「考え方」について、しっかりと学ぶことができました。
これもおすすめのテキストです!
※ただし、筆者の方針が「受験生は合同式は安易に使わない方がよい」であるため、本書には合同式を使った式変形は出てきません。
「合格ナビ!数学検定1級1次」はまとめに最適
数学検定1級では合同式に関する問題が頻出です。これは数学検定1級に特有の傾向です。合同式は確実に使いこなせるように準備しておきましょう。
合同式を勉強する際役立ったのが「合格ナビ!数学検定1級1次 線形代数」です。ページ数は少ないですが、2次の合同式まで扱っています。
本書のタイトルは「線形代数」となっていますが、第0章で「整数」を扱っています。
整数で扱われているのは「ユークリッドの互除法」「2元1次不定方程式」「1次合同式」「2次合同式」「Pell方程式」です。
それぞれ2~3ページに要点と問題がコンパクトにまとまっています。1次合同式に関しても2ページ半しかありませんが、こういった短めのまとめは検定直前にとても役立ちました。
1次の過去問以外にも、2017年の1次と2次の検定問題1回分が巻末に掲載されているので、私にとっては大変役ったテキストでもあります。
過去問で整数問題に慣れよう
「合格ナビ!数学検定1級1次 線形代数」だけだと過去問はまだ少し足りないかもしれません。
「完全解説問題集 発見」などで様々な問題に慣れておくことをおすすめします。
本書には合同式に関する過去問が何問かあります。少し面倒に感じる問題もありますが、しっかり練習して自分のものにしておきましょう。
ちなみに、344回検定の2次では問題1にウィルソンの定理が出題されました。合同式に慣れていれば、完答も可能な問題です。
私の場合、整数には苦手意識をもっていましたが、ここまで挙げた問題集を使って勉強してきたことで、今回の検定で点数を稼ぐことができました。(一部ミスをしてしまいましたが)
複素関数について
本格的な複素関数の問題は私は見たことがありませんが、たとえば1次検定などで次のような問題が出題されています。
\( \cos z =4 \) を満たす複素数\( z \) のうち、純虚数であるものを全て求めなさい。
数学検定1級に関しては、複素関数は基礎のみをマスターしておけば、対策は十分だと思います。私は、マセマシリーズの複素関数を使って勉強しました。
本書の講義1は「複素数と複素数平面の基本」、講義2は「さまざまな複素関数」です。
私は講義1と2しかやりませんでした。
複素関数に関しては、過去問を見る限り、講義2まででも対応可能だと考えたからです。講義2の後半も必要なかもしれません。
本書は、価格がやや高めですが、一から分かりやすく書かれていて理解が進みます。
私は、複素関数を勉強したことがありませんでしたので、特に講義2は興味深かったです。数検1級に関係なく、講義3以降も勉強してみたいと思いました。
高校レベルの複素数を勉強するなら「1対1対応の演習」がおすすめです。
本書に関しては、準1級を受検した際に使いました。
複素関数については、1次検定の問題2などで出題されることが多いです。過去問を利用して出題形式に慣れておきましょう。
幾何について
数学検定1級の2次検定では「問題3」が幾何がらみの問題であることが多いです。
私は平面幾何の対策として次の「1対1対応の演習 数学A」を用いました。
1対1ファンかもしれません。でも、このテキスト、本当によくまとまってると思います。
本書の平面図形は例題と演習題がそれぞれ12題あります。
基礎固めに是非取り組んでみてください。
幾何の問題を解く際、ベクトルを用いた方がよいケースも多いです。こちらも、1対1で勉強しました。
ベクトルは線形代数の基礎になりますので漏れの内容に勉強しておきたいところです。
さらに思考力を鍛えるには「やさしい理系数学」の幾何の部分がおすすめです。
この本の第3章が「平面・空間図形」で、私はこの章を2回ほど繰り返しました。1回目はかなり苦戦しましたが、粘り強く問題に向き合う力が鍛えられました。
本書もよくまとまっていて良問揃いです!
まとめ
「整数」「複素関数」「幾何」について、私の勉強法を紹介させていただきましました。
数検1級の勉強ではどうしても、微分積分や線形代数などに時間をとられて、整数・複素関数・幾何などの分野は後回しになりがちです。
しかし、1次検定で整数と複素関数が出題されるケースが結構ありますので、全くやらないわけにはいきません。
それほど時間もかけられない分野かもしれませんが、ポイントだけはしっかりと押さえて、効率よく学習を進めていきたいところです。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回ご紹介したテキストも参考にして、数学検定1級合格を目指して頑張っていきましょう。