数学検定1級のための勉強って大変ですよね。
私自身、受検する際とても苦労しましたのでよくわかります。
この記事を書いている私は、仕事と子育てをしながら、約1年2ヶ月で数学検定の1級に合格することができました。
時間がない私が、なぜ短期間の勉強で合格できたのか。
この記事では、私が1級合格のためにやってきたことすべてについて、まとめてみたいと思います。
内容は「勉強法」「過去問分析」「おすすめの参考書・問題集」「受検報告」「結果発表の瞬間」「私の得点推移」「個人成績票」「合格体験記」など盛りだくさんです!
最後の「合格体験記」を読むと、全体像も把握できると思います。
それでは、さっそく見ていきましょう。
数学検定1級の勉強法まとめ
それでは、数検1級で出題される主な分野についての
微分積分の勉強法
微分積分は数検1級の一番の要となる分野です。1次でも2次でも必ず出題されます。
極限、1変数の微分、1変数関数の積分、偏微分、重積分など学習範囲は多岐にわたりますので、早めからの準備が必須です。
微分積分の勉強法については、以下の記事に詳しくまとめました。ぜひご覧ください。
線形代数の勉強法
線形代数も1級受検では必須です。1次でも2次でも必ず出題されています。
計算力をつけるだけでなく、「線形独立、線形従属、線形空間、写像、Im f、Ker f、単射、全射、全単射」などの意味をきちんと理解する必要がります。
これらの概念の理解には苦労しました。誰もが通らなければならない道ですね。
線形代数の勉強法については、以下の記事に詳しくまとめましたのでぜひご覧ください。
確率統計の勉強法
確率統計は1次で必ず出題されます。
また、2次では選択問題として統計が出題されますが、選択問題の中では統計は比較的完答しやすい分野です。
私の1級対策法では、2次検定では問題4の「統計」を選択することをおすすめしています。
統計はややとっつきにくさを感じるかもしれませんが、短期間で得点源にすることも可能です。
確率統計の勉強法については、以下の記事に詳しくまとめました。ぜひご覧ください。
微分方程式の勉強法
微分方程式も1級受検では絶対に外せない分野です。
微分方程式は1次か2次のどちらかで必ず出題されています。出題される問題は「変数分離」と「2階線形型」が多く、それほど難しい問題は出題されていません。
頑張れば1か月程度での習得も可能です。
微分方程式の勉強法については、以下の記事に詳しくまとめました。ぜひご覧ください。
整数・複素関数・幾何の勉強法
この3分野に関しては以下の傾向があります。
・「整数」は1次、2次ともに出題されることが多い。特に合同式は必須!
・「複素関数」は計算問題が1次検定でときどき出題される
・2次の問題3が「幾何」に関連した問題であることが多い
時間がない場合は「整数」だけでもポイントを絞って勉強しておきましょう。
これらの分野の勉強法については、以下の記事に詳しくまとめました。
ぜひご覧ください。
数学検定1級の過去問分析まとめ
1級を受検する場合、過去問分析はめちゃくちゃ重要です。
1級の出題範囲はとても広いので、やみくもに勉強していたら、いくら時間があっても足りません。
過去問をしっかりと分析して、ポイントをしぼった学習をすることが大切になってきます。
ところが、数学検定1級に関しては、最近の過去問がなかなか手に入りません。ファミマのプリントサービスも準1級までの問題しかありませんでした。
このような状況で、過去問については「完全解説問題集 発見」と「合格ナビ!」の巻末の過去問を中心に取り組みました。この他にもWeb上で公開される過去問、自分が過去受検したときの問題も何度か繰り返しやってみました。
これだけでも、かなり傾向がつかめました。
確率統計と微分方程式について過去問分析をまとめてみましたので参考にしてみてください。
確率統計の過去問分析
確率統計は、出題される問題のタイプがほぼ決まっています!
「確率統計」の過去問分析については、以下の記事に詳しくまとめましたので、ぜひご覧ください。
微分方程式の過去問分析
微分方程式についても、12回分の問題を分析してみたところ、傾向が見えてきました。
こちらも、出題パターンがある程度限られています。
「微分方程式」の過去問分析については、以下の記事に詳しくまとめましたので、ぜひご覧ください。
私が使用した参考書・問題集のすべて
「微分積分」で使用した参考書・問題集
「マセマ微積分」→「マセマ微積分 演習」→「準拠テキスト」→「合格ナビ」の順に取り組みました。特にマセマと準拠テキストは何回も繰り返しました。
これらの問題集の使い方についてはこちらもの記事もご覧ください↓
準拠テキストと合格ナビに取り組む順番は逆の方がよいです。
準拠テキストの方が難しめです。
マセマ 微分積分キャンパス・ゼミ
高校で習う数学Ⅲの内容が身についていれば、高校生でも読むことができます。
語り掛けるような口調で、講義形式で話が進んでいきます。
私は、この本を何度も繰り返し、微積の基礎を頭にたたき込みました。
マセマ 〔演習〕微分積分キャンパス・ゼミ
「マセマ 微分積分キャンパス・ゼミ」の演習編です。
「微分積分キャンパス・ゼミ」の内容を定着させるのに有効な本です。
類題がたくさん掲載されていて、「微分積分キャンパス・ゼミ」にはないタイプの問題演習も行うことができます。
合格ナビ!数学検定1級1次 解析・確率統計
1級の1次検定攻略に焦点をしぼった問題集です。
微分積分のほかに微分方程式や確率統計の内容もふくまれています。
細かい内容まで扱いがあり、1次検定に関してはこの本をやっておけば十分でしょう。
巻末に過去問が収録されているのもGood!
この本の詳しい使い方については以下の記事も参考にしてみてください。
数学検定1級 準拠テキスト 微分積分
1級受検では必須のテキストです。
私はこのテキストを何度も繰り返しました。
難しい問題もありますが、確実に力を伸ばしてくれた良書です!
この本の詳しい使い方については、以下の記事も参考にしてみてください。
私が準1級を受検するときに取り組んだ「1対1対応の数学 微分積分」や「微積分 基礎の極意」なども良くまとまったおすすめのテキストです。
詳しくはこちらをご覧ください。
「線形代数」で使用した参考書・問題集
「マセマ線形代数」→「準拠問題集 線形代数」→「合格ナビ!線形代数」の順に取り組みました。
詳しくはこちらをご覧ください↓
マセマ 線形代数キャンパス・ゼミ
高校レベルの復習からはじまりますので、線形代数を初めて勉強する方にもおすすめです。
線形代数は概念の理解が厄介なので、線形空間や線形写像の分野に関してはノートをつくりながら勉強をすすめました。
なお、マセマ線形代数の演習編は使用しませんでした。
合格ナビ!数学検定1級1次 線形代数
1次検定攻略に焦点をしぼった問題集です。
このテキストには「線形代数」の他に「整数」の内容も含まれています。
1次対策としてはややオーバースペックと思われる内容もありますので、1次検定に関しては本書をやっておけば十分おつりがきます。
この本の詳しい使い方については、以下の記事も参考にしてみてください。
数学検定1級 準拠テキスト 線形代数
こちらも1級を受検する人にとって必須のテキストです。
私はこのテキストを何度も繰り返し、力をつけることができました。
先ほどご紹介した、マセマのキャンパスゼミと合わせて使うことで、理解が深まります。
線形代数はテキストによって、表現や説明の仕方が異なります。
自分にあった本の記述をベースに知識の幅を広げていきましょう。
この本の詳しい使い方については、以下の記事も参考にしてみてください。
「確率統計」で使用した参考書・問題集
「マセマ統計学」→「やさしくわかる統計学のための数学」とすすめました。
「徹底攻略 確率統計」は部分的に使用しました。
「マセマ統計学」はやや難しく感じました。「やさしくわかる統計学のための数学」から入るとスムーズです。
マセマ 統計学キャンパス・ゼミ
統計学の基礎をほぼカバーしてくれます。
定理についてもしっかりとした解説があるので、説得力があります。
ただし、このテキストには結構難しい部分もあるので注意しましょう。私は、数検1級ではほとんど出題されていない部分に結構な時間を割いてしまいました。
以下の「あわせて読みたい」で紹介した記事も参考にしてみてください。
やさしくわかる統計学のための数学
統計学を初めて学ぶ人でも、抵抗なく読み進めることができるやさしいめのテキストです。
中学程度の数学の知識があれば大丈夫でしょう。
最近発売された本なのであまり知られていないかもしれませんが、結構おすすめです。
統計学に関してはこの本だけでも2次検定まで対応可能だと思います。
徹底攻略 確率統計
確率統計のほぼ全範囲が網羅されています。
一見難しそうですが、扱っている問題は易しめです。ただし、公式が本格的な数学記号を多用しているので、ややとっつきにくさがありました。
コラムが充実していて、統計学の面白さを実感できる本です。
私はこの本で推定と検定を徹底的に勉強しました。
「微分方程式」で使用した参考書・問題集
私が取り組んだのは「やさしくわかる微分方程式」と「合格ナビ!解析学・確率統計」の微分方程式の章のみです。「演習微分方程式」は辞書的に使いました。
やさしくわかる微分方程式
「やさしくわかる微分方程式」はめちゃくちゃわかりやすい本で、基礎から微分方程式を学ぶことができます。
1か月もあれば一通り終えることも可能でしょう。類題も豊富です。
デメリットとしては、分かりやすさを重視しているため、微分演算子Dを使った公式の量が多いことです。これをすべて覚えるのは大変。微分演算子を使った解法を勉強する場合は他の書籍も合わせて読むことをお勧めします。
演習微分方程式
微分方程式の教科書的存在です。私は辞書的にこの本を使っただけでしたが、結構評価の高い本です。
「整数・複素関数・幾何」で使用した参考書問題集
この分野の問題集・参考書については、以下の記事も参考にしてください。
整数 分野別標準問題精講
解説が詳しくて、とても分かりやすい本です。第1部のみを繰り返しました。
私は整数を強化するために、準1級を受検するときに本書に取り組みました。
この本の他に「1対1対応の数学 数学A」の整数の分野も一通りやっておきました。
数検1級では整数問題が出題される場合が多いので整数分野の対策は必須です。
マセマ 複素関数キャンパス・ゼミ
1級では1次で、複素関数の基礎に関する問題がときどき出題されていましたので、その対策として使いました。
講義1と講義2まで勉強すれば、1次対策は十分だと思います。
講義3以降はおそらく必要ありません。
やさしい理系数学
この本の第3章「平面・空間図形」を2回ほど繰り返しました。私は準1級受検の際に部分的に使いました。
2次検定では幾何に関連した問題がときどき出題されています。
過去問など
実用数学検定1級 完全解説問題集 発見
おそらく、多くの1級受検者が使っているテキストです。
重要だと思う問題については4回くらい繰り返し解きました。
私は、同じ分野の問題だけを通しで解いていくやり方でこの本を使いました。
2次検定問題は全部はできませんでしたが、できる限り取り組みました。
ためせ実力!めざせ1級!数学検定1級実践演習
この本はレベル別の構成になっています。
複雑な因数分解や代数方程式がある貴重なテキストです。
総合力も鍛えられます。
やや古い本なので使おうか迷っている方は、以下の記事を参考にしてみてください。
私は1回だけ通しで取り組んでみました。
2階線形微分方程式はどの解法を用いるべきか?
2階線形微分方程式については「未定係数法」「定数変化法」「逆演算子法」の主に3種類の解き方があります。
それぞれの解き方のメリットデメリットを以下の記事にまとめましたので参考にしてみてください。
過去に受けた数検1級の受検報告
私は過去3回ほど受検をしました。
そのうちの2回分についての受検報告です。
第339回検定 受検報告 1次検定
第339回検定 受検報告 2次検定
第344回検定 受験報告 2次検定
結果発表の瞬間
手に汗握る、合否確認の瞬間をブログにかきました。
第339回検定のWeb結果発表
第344回検定のWeb結果発表
数検1級合格までの得点推移
数学検定1級の合格基準
数検1級の合格基準は以下のようになっています。
1次 | 2次 | |
満点 | 7.0点 | 4.0点 |
合格点 | 5.0点 | 2.5点 |
1次はおよそ7割、2次はおよそ6割の得点で合格となります。
1次検定は時間との闘い。絶対にミスできないプレッシャーとの闘いです。1問1点ですので、分からない問題が1問でもあると、かなり厳しい状況に追い込まれます。
2次検定は記述式。必修問題2題と選択問題2題の合計4題を解答します。時間はありますが、難しめの問題が多いです。
私の得点推移
私は2018年の9月頃から本格的な勉強を開始しました。
合格までに3回の検定を受検。結果は以下の通りでした。
1次 | 2次 | |
1回目 2019年4月 | 4.5点 不合格 | 2.0点 不合格 |
2回目 2019年6月 | 5.0点 合格 | 1.5点 不合格 |
3回目 2019年10月 | ー | 2.9点 合格 |
約1年2ヶ月間の道のりでしたが、私なりに結構頑張って勉強してきました。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
個人成績票と問題分析まとめ
私が過去に受検した数学検定1級の過去問分析と個人成績票の結果です。
第399回検定 個人成績票公開 1次検定
第399回検定 個人成績票公開 2次検定
第344回検定 個人成績票公開
数学検定1級と準1級の合格体験記まとめ
数学検定準1級の合格体験記
数学検定1級を受検する前に準1級を受けました。
1級が合格できた大きな要因として、準1級受検期間の勉強の積み重ねがあります。
この記事は準1級受検を考えている人だけでなく、1級受検予定の人にも参考になると思います。
数学検定1級の合格体験記
過去の受検や勉強の様子をすべてまとめた、体験記です。
数学検定1級受検のきっかけや、合格できた要因についても書いています。
私の受検戦略について知りたい方もこちらをご覧ください。